ECサイトの運営では、商品情報の登録やコンテンツ制作だけでなく、検索されやすいページを作り、継続的に改善する必要があります。AIをeコマースで活用することで、キーワード調査や競合分析、商品説明の作成、検索順位の計測、サイト上の技術的な問題の発見などを効率化できます。しかし、AIツールには、SEO分析に特化したものから、文章や画像の制作、商品情報の整理に活用できるものまであり、どれを選べばよいか迷う方も少なくありません。
本記事では、AI SEOに役立つツールを、AI機能を搭載したSEOツールと、SEOにも活用できるECサイト向けAIツールに分け、それぞれの特徴や料金を紹介します。AI SEOツールの活用方法や選び方も解説するので、自社の課題や運用体制に適したツールを検討する際に役立ててください。

ECサイトにおけるAI SEOツールの活用方法
キーワードを調査する
AIを搭載したSEOツールを利用すると、ECサイトへの流入につながるキーワードを効率的に調査できます。主な調査対象は次のとおりです。
- 商品に関連するキーワード:商品の種類や特徴、用途、価格帯などを含むキーワードです。ユーザーがどのような商品を求めているかを把握する際に役立ちます。
- 競合サイトのキーワード:競合サイトがオーガニックトラフィックを獲得している一方、自社では十分に対策できていないキーワードです。商品ページやカテゴリーページを改善する際の参考になります。
- 検索意図:ユーザーが情報収集、比較、購入など、どのような目的で検索しているかを表します。検索意図を把握することで、キーワードに適したページや情報を検討できます。
検索数や競合性を分析できるツールもありますが、分析ツールの提供会社ごとに参照するデータや算出方法が異なるため、同じ項目でも差が生じる場合があります。対策するキーワードの優先順位を決めるための参考情報として活用しましょう。
コンテンツを作成して改善する
AIは、ECサイトに必要な次のようなコンテンツ作成に活用できます。
- 商品説明:商品名、特徴、用途、素材などをもとに、商品説明の下書きを作成できます。
- ページタイトルとメタディスクリプション:商品ページやカテゴリーページの内容を伝えるタイトルや説明文の候補を作成できます。
- 画像の代替テキスト:商品画像の内容を文章で説明する代替テキストを作成できます。代替テキストは、検索エンジンが画像の内容を理解する手がかりになるほか、画面の情報を音声で読み上げる機能を利用する人にも画像の内容を伝えられます。
- ブログ記事:商品の選び方や使い方など、顧客の疑問に答える記事の構成や下書きを作成できます。
既存の商品ページや記事を分析し、関連キーワードの不足や見出し構成、内容の重複といった改善点を示すAI SEOツールもあります。ただし、AIが生成した文章には、事実と異なる商品情報が含まれる可能性があります。公開前に内容の正確性を確認し、自社の専門知識やブランドに合った表現に整えましょう。また、検索順位を上げることだけを目的に、ユーザーにとって価値の低いコンテンツを大量に作成することは避けてください。
テクニカルSEOに活用する
AIを搭載したSEOツールは、ECサイトの技術的な問題を改善するテクニカルSEOにも活用できます。検索エンジンによるクロールやインデックス登録を妨げる可能性がある問題を検出し、対応が必要なページを特定できます。主に確認できる問題は次のとおりです。
- ページの表示速度が遅い
- 同じ、またはよく似た内容のページが複数存在する
- クロールやインデックス登録に問題がある
- サイト内の階層やリンク構造が複雑になっている
- リンク切れや404エラーが発生している
- モバイル端末で閲覧しにくい
商品数の多いECサイトでは、新商品の追加や販売終了に伴ってページが増減するため、表示速度やリンク切れ、重複コンテンツなどの問題をすべて手作業で確認するのは困難です。AI SEOツールを利用すれば、問題が発生しているページを効率的に特定し、優先的に対応すべき項目を判断しやすくなります。
利用できる機能はツールによって異なり、問題の検出や改善方法の提案にとどまるものもあれば、ページタイトルやメタディスクリプション、構造化データなどを一括で変更できるものもあります。一括変更を行う際は、対象となるページと変更内容を事前に確認し、商品情報やページの設定に誤りが生じないよう注意しましょう。
内部SEOとユーザー体験を改善する
AIは、個々のページを検索エンジンとユーザーの双方にとって理解しやすくする、内部SEOの改善にも活用できます。主な活用方法は次のとおりです。
- 内部リンクの改善:関連する商品ページ、カテゴリーページ、ブログ記事へのリンクを提案します。ページ同士を適切につなぐことで、ユーザーと検索エンジンが関連ページを見つけやすくなります。
- 構成と読みやすさの改善:商品説明や記事、CTAなどを分析し、長い文章の分割、見出しの追加、情報の並べ替えなどを提案します。
- 表示速度と操作性の改善:容量の大きい画像や不要なコードなど、ページの表示速度に影響する要因を検出します。モバイル端末での表示や操作上の問題を確認できるツールもあります。
こうしたUXデザインの改善は、ECサイトの使いやすさを高めるうえで重要です。ただし、AIの提案が必ずしも自社サイトに適しているとは限りません。変更後はアクセス数や売上、コンバージョン率などを確認し、効果を検証しながら調整しましょう。
AI機能を搭載したECサイト向けSEOツール5選
1. Keywordmap
Keywordmap(キーワードマップ)は、日本語の検索データをもとに、キーワード調査や競合分析、コンテンツ制作を行えるSEOツールです。競合サイトが検索流入を獲得しているキーワードや順位を調べ、自社との差を分析できます。AIによる記事の構成案や本文の作成にも対応しています。Google Analytics(グーグルアナリティクス)やGoogle Search Console(グーグルサーチコンソール)と連携すれば、公開後の検索順位や流入数も確認できます。また、ChatGPT(チャットジーピーティー)の回答やGoogle AI Overviews(グーグルエーアイオーバービュー)で、自社や競合のブランド名がどの程度取り上げられているか、自社サイトが情報源として引用されているかを分析できます。
- 料金:月額利用料は12万円からで、別途初期費用がかかります。
- おすすめの用途:日本語キーワードの調査から効果測定まで、一元的に進めたい場合に適しています。
2. ミエルカSEO
ミエルカSEOは、キーワード選定からコンテンツ制作、公開後の効果測定までを一元的に支援します。月間検索数や検索順位を確認できるほか、キーワードを検索意図ごとに分類できます。AI記事生成機能では、キーワードをもとにタイトルや見出し、本文を作成できます。既存記事のURLを入力し、競合分析の結果を踏まえた改善案を作成することも可能です。さらに、ChatGPTやGoogle Gemini(グーグルジェミニ)などからの流入や、Google AI Overviewsにおける自社サイトの引用状況も確認できます。
- 料金:月額15万円からで、無料トライアルも利用できます。
- おすすめの用途:Google検索の順位に加え、ChatGPTなどを経由したサイト訪問や、Google AI Overviewsでの引用状況を確認したい場合に適しています。
3. EmmaTools
EmmaTools(エマツールズ)は、SEO記事の作成と品質管理に特化した国産ツールです。検索上位ページの文字数やキーワード、見出し構成を分析し、AIが見出しや本文を日本語で作成します。作成したコンテンツは、関連キーワードの網羅性や文字量などをもとに数値化され、改善点を確認できます。検索順位の自動計測に加え、ファクトチェックやコピー率、景品表示法と薬機法などの許認可に関するチェック機能もあります。ただし、公開前には人による最終確認が必要です。
- 料金:法人向けは初期費用10万円、月額8万5,000円から(いずれも税別)です。
- おすすめの用途:SEO記事を独自のスコアで評価し、複数の記事の品質や検索順位をまとめて管理したい場合に適しています。
4. Semrush
Semrush(セムラッシュ)は、国内外のキーワードや競合サイトを調査できるSEOプラットフォームです。キーワードの検索数や検索意図に加え、競合サイトが検索流入を獲得しているキーワードや被リンクも分析できます。AIを活用したコンテンツ制作にも対応しており、キーワードやトピックのデータに基づく記事の生成、既存記事の改善、SEO記事の構成案作成などが可能です。このほか、Google検索だけでなく、ChatGPT、Gemini、Perplexity(パープレキシティ)などのAI検索におけるブランドの表示状況も分析できます。
- 料金:無料版があります。有料プランは月額139.95ドルからです。
- おすすめの用途:日本や海外の競合サイトを調査し、Googleの検索順位や生成AIにおける自社ブランドの言及状況を確認したい場合に適しています。
5. Transcope
Transcope(トランスコープ)は、検索上位の競合サイトを分析し、SEOで重視すべきキーワードや情報を取り入れた記事をAIで生成できるSEOライティングツールです。競合分析では、上位ページで使われている重要なキーワードや見出し構成を確認できます。このほか、SEOキーワードの提案、検索順位の調査、内部リンクの提案にも対応しています。自社サイトや資料の情報を事前に登録し、その内容を文章へ反映できるため、商品の特徴やブランド情報を取り入れたコンテンツ制作にも活用できます。
- 料金:1週間の無料版があります。有料プランは月額1万1,000円(税込)からで、初期費用はかかりません。
- おすすめの用途:自社や商品の情報を反映した日本語のSEOコンテンツを効率的に作成したい場合に適しています。
SEOに活用できるECサイト向けAIツール5選
1. Shopify Magic
Shopify Magic(ショッピファイマジック)は、Shopifyの管理画面に組み込まれたAI機能です。商品の特徴やキーワードを入力すると、指定した文章のトーンに合わせて商品説明を生成できます。商品画像の背景を生成、変更、削除する機能もあり、管理画面から移動せずに商品ページの文章と画像を整えられます。
商品説明に関連キーワードを自然に取り入れることでSEOにも活用できます。一般公開されている機能は日本語でも利用できます。
- 料金:Shopifyの各プランで追加料金なしで利用できます。
- おすすめの用途:商品数の多いShopifyストアで、商品説明の下書きと画像背景の編集を管理画面内で進めたい場合に適しています。
2. ChatGPT
ChatGPTは、入力した指示に応じて文章や画像などを生成できるAIツールです。商品情報と対策キーワードを入力し、商品説明、ページタイトル、メタディスクリプション、よくある質問などの候補をまとめて作成できます。追加の指示を重ねながら、文章の長さや表現を調整できる点も特徴です。
顧客の疑問を想定したブログテーマの検討や、記事構成の作成にも利用できます。ただし、ChatGPTが示す検索数や競合性が正確とは限りません。キーワードの需要や難易度は、SEOツールなどで別途確認する必要があります。
- 料金:無料版があります。有料プランは月額1,400円からです。
- おすすめの用途:一つの商品情報から、商品説明、メタ情報、よくある質問など複数の文章案を対話しながら作成したい場合に適しています。
3. Catchy
Catchy(キャッチー)は、日本語のマーケティング文章に特化したAIライティングツールです。キャッチコピー、記事、広告文、ウェブサイトの文章など、100種類以上の用途に応じた生成ツールが用意されています。対策キーワードや商品の特徴を入力することで、SEOコンテンツのアイデア出しや文章作成にも活用できます。
ECサイトでは、カテゴリーページの紹介文、ブログ記事のタイトルや構成、メタディスクリプションなどの作成に役立ちます。生成された文章はそのまま掲載せず、ユーザーの検索意図を満たしているか確認し、正確な商品情報や独自の情報、ブランドに合った表現を加えてから使用しましょう。
- 料金:無料版があります。有料プランは月額3,000円からです。
- おすすめの用途:複雑な指示文を作らず、用途別の生成ツールから日本語の記事や販促コピーを作成したい場合に適しています。
4. Canva
Canva(キャンバ)は、商品画像、バナー、ブログの見出し画像などを作成できるデザインツールです。AI機能を利用して、指示文から画像を生成し、生成した画像をCanvaのテンプレートに追加して編集できます。文章生成機能では、キーワードを入力して記事などの文章を作成できるため、ブログ記事の下書きやタイトル案など、SEOコンテンツの制作にも活用できます。
Canvaで作成した画像をECサイトへ掲載する際は、ファイル容量を抑えて表示速度に配慮し、画像の内容が伝わるファイル名と代替テキストを設定しましょう。
- 料金:無料版があります。有料プランは月額1,180円(税込)からです。
- おすすめの用途:同じ商品の素材から、商品ページ、ブログ、SNSなどに使用する画像を用途別に作成したい場合に適しています。
5. awoo AI
awoo AI(アウーエーアイ)は、商品データをAIで分析し、商品の特徴を表すハッシュタグを自動生成するEC向けツールです。商品の特徴を表すハッシュタグを自動生成し、商品ページなどに表示できます。
ハッシュタグをクリックすると、同じ特徴を持つ商品をまとめたランディングページが自動生成されるため、ユーザーは用途や素材、デザインなどの条件から商品を探せます。これらのランディングページを活用すれば、「通勤向け」「リネン素材」などの具体的な条件を含む検索キーワードからの流入も狙えます。Shopifyとのシステム連携にも対応しています。
- 料金:利用料金については問い合わせが必要です。
- おすすめの用途:多くの商品を扱うECサイトで、商品特徴のタグ付けを自動化し、顧客が関連商品を見つけやすい導線を作りたい場合に適しています。
ECサイトで利用するAI SEOツールの選び方
導入する目的を明確にする
ECのAI活用を進める際は、まず改善したい業務と達成したい目標を決めます。キーワード調査や競合分析を強化する、商品説明の作成時間を短縮する、リンク切れを減らすなど、目的によって必要な機能は異なります。「検索流入を増やす」のような広い目標だけでなく、対象ページを定め、検索順位、自然検索流入数、コンバージョン数などのKPIを設定すると、導入後の効果を検証しやすくなります。
操作性と運用体制を確認する
ツールによって、利用する際に必要となるSEOやウェブ制作の知識は異なります。外部システムとの連携や高度な設定には、コードの編集や専門知識が必要になる場合もあります。専任担当者がいない場合は、日本語の管理画面やサポートが用意されているか、コードを使わずに操作できるかを確認しましょう。実際に使用する担当者も選定に参加し、分析結果や改善方法を理解できるか確かめることが大切です。
費用と利用制限を比較する
月額料金に加えて、初期費用、利用人数、登録できるサイトやキーワードの数、文章生成の上限なども確認しましょう。商品やページが増えた場合の料金も考慮し、無理なく継続できるプランを選ぶことが大切です。
既存システムとの連携方法を確認する
ECプラットフォーム、CRM、Google Analytics、Google Search Consoleなど、現在利用しているシステムと連携できるかを確認します。Shopifyを利用している場合は、Shopify Magicのように管理画面へ組み込まれた機能を選ぶと、外部ツールとの連携作業を減らせます。外部ツールを導入する場合は、商品や顧客に関するどのデータを取得、変更するのか、連携に追加費用や開発作業が必要かも確認しましょう。
まとめ
AI SEOツールは、キーワード調査や競合分析、コンテンツ作成、検索順位の計測、テクニカルSEOなど、ECサイトの幅広い業務に活用できます。また、文章や画像の制作、商品情報の整理に対応したeコマース向けAIツールも、商品ページやブログ記事を改善し、SEO施策を効率化するうえで役立ちます。
導入する際は、解決したい課題やKPIを明確にしたうえで、操作性、料金、利用制限、既存システムとの連携方法を比較しましょう。無料版や無料トライアルがあれば、実際の運用に合うかを確認することも大切です。
AIによる分析や生成内容が正しいとは限らないため、商品ページや記事を公開する前や、サイトの設定を変更する前には、担当者が内容を確認するようにしましょう。変更後はアクセス数やコンバージョン率などを測定しながら、改善を続けることが重要です。
AI SEOツールに関するよくある質問
ECサイトでAI SEOツールを利用するメリットは?
- キーワード調査を効率化できる
- コンテンツ制作の時間を短縮できる
- サイトの問題を発見しやすくなる
- 改善の優先順位を判断しやすくなる
ECサイト向けAI SEOツールを選ぶ際のポイントは?
- 導入する目的を明確にする
- 操作性と運用体制を確認する
- 費用と利用制限を比較する
- 既存システムとの連携方法を確認する
AI SEOツールは無料で利用できる?
無料版や無料トライアルを提供しているツールもあります。ただし、調査できるキーワード数や文章の生成回数などが制限される場合があります。継続的に利用する場合は、有料プランの料金と利用上限も確認しましょう。
AI SEOツールで生成した文章はそのまま公開できる?
AIが生成した文章には、誤った商品情報や不自然な表現が含まれる場合があるため、そのまま公開することは避けましょう。商品の特徴や価格、素材などを確認し、自社のブランドに合った表現へ修正してから公開することが大切です。




