B2B向けEC展開には、多くのメリットがあります。大口注文を安定的に獲得しながらコストやオーバーヘッドを最小限に抑えられる点は、高い収益性につながっています。しかし、綿密な計画が求められる業界でもあります。各企業がこのモデルの幅広い利点を活かそうとする中、B2B ECでの成功は他のビジネスチャネルとは異なる形をとることが多く、KPI(重要業績評価指標)こそが正しいアプローチへの道標となります。
KPI(Key Performance Indicator)とは、ビジネス目標の達成度を測る指標です。本記事では、B2B ECに不可欠なKPIを網羅的にまとめました。財務パフォーマンス、ウェブサイトパフォーマンス、顧客関係など、多角的にカバーしています。
コーヒーショップからファッションマーケットプレイス、ITプロバイダーまで、さまざまな企業が近年B2B ECで成果を上げています。このガイドを、自社の成長を加速させるロードマップとして活用してみましょう。
B2B向けECにおけるKPIとは
新しいトレーニングを始めるとき、長期的な目標を設定し、達成すべきベンチマークを含む計画を立てるはずです。ビジネスの成長においても、KPIはまさにそのベンチマークの役割を果たします。
- KPIは、ビジネスパフォーマンスを測定するための追跡可能な指標。
- 時間の経過とともにパフォーマンスを測定し、特定の目標やターゲットに対する進捗を評価するのに役立つ。
- 部門、企業、業界によって適切なKPIは異なる。
自社モデルに合ったKPIの選び方
KPIを目標とモーションにマッピングする
バイヤーは購入に至るまでに平均10のチャネルを利用していることが、2024年のデータ(英語サイト)で明らかになっています。購買ジャーニーは単純なファネルよりもはるかに複雑で、オムニチャネル化が進んでいます。
実際、インタラクションは3分の1ずつに分かれており、対面が3分の1、リモートでの営業支援が3分の1、デジタルセルフサービスが残りの3分の1を占めています。チャネルの多様化は、追跡すべきKPIが一つのセットでは済まないことを意味します。
理想的には、ECが購買の主要チャネルとなりつつある今、モーションごとにパフォーマンスを追跡すべきです。セルフサービスで巨額の支出に抵抗を感じないバイヤーが増えています。さらに、エンタープライズマーケットプレイスも勢いを増しており、あるレポート(英語サイト)では2022〜2023年の期間で従来のECと比較してGMV成長率が6倍に達したと報告されています。
そのうえで、各モーションの目標に指標をマッピングしましょう。例えば以下の通りです。
セルフサービス
- 目標:オンライン利用の促進と、摩擦のないローコストな取引の実現
- KPI:ウェブストア利用率(%)、デジタル売上構成比(%)、カートからチェックアウトへの遷移率、チェックアウトから決済完了率、リピート購入率
営業支援(セールスアシスト)
- 目標:営業担当者が高額で複雑な案件を効率的にクロージングできるよう支援
- KPI:初回レスポンスまでの時間、見積もりから受注までのサイクルタイム、ステージ別受注率、チャネル別平均販売単価、案件滞留期間
マーケットプレイス/ハイブリッド
- 目標:バイヤーとセラーの双方向エコシステムを効果的に管理し、品揃えと売上を拡大
- KPI:流通取引総額(GMV)、テイクレート(%)、セラーの初回販売までの平均日数、セラー継続率、バイヤー対セラー比率
KPIとその他の指標の違い
各モーションを追跡するには、上位のKPIとそれを構成する指標を区別することが重要です。KPIは目標に紐づく指標であり、その他のメトリクスはKPIが変動する理由を示すインプットとして機能します。
シンプルに整理すると以下のようになります。
| 項目 | 定義 | B2Bでの例 |
|---|---|---|
| KPI | 目標に対するパフォーマンスを示す。計算式、単位、時間的推移を持つ。 | ウェブストア利用率 =(アクティブオンラインアカウント数 ÷ 全アクティブアカウント数)目標:60%以上、月次レビュー |
| メトリクス | より広範なプログラムを支える定量的な値。 | 商品ページCTR、カート追加数、セラー出品数 |
| 測定値 | 計測ツールによって取得される具体的・客観的な値で、メトリクスの基礎となる。 | クリック数、ページ読み込み時間(ms)、出荷数量 |
ウェブサイトとコンバージョンのパフォーマンスKPI
ECリーダーが活用できるモバイルサイト速度最適化の手法は数多くあり、Shop Payのような最高水準のモバイルチェックアウトオプションも存在します。ECサイトを改善する際には、以下のKPIを念頭に置きましょう。
ウェブサイトのトラフィックとエンゲージメント
Googleなどの検索エンジンは、表示速度の速いサイトを優先的に評価します。また、見込み客に関連するナレッジベースコンテンツを通じてオンラインストアへのトラフィックを増やすことも可能です。
見込み客をサイトに呼び込んだ後、次に何をすべきでしょうか?
- ウェブサイトのトラフィックデータは、顧客や見込みバイヤーが自社とどのように関わっているかを把握するための洞察を提供する
- クリック率(CTR)は、マーケティングキャンペーンの効果とブランド力を示す
- 直帰率は商品プレゼンテーションの訴求力を、リピート訪問者数は継続的な関心の度合いを反映する
- トラフィックデータを活用して、サイトの機能を最適化・強化できる
コンバージョン率
コンバージョン率は、サイト訪問者がどの程度の頻度で顧客に転換するかを測定します。ShopifyのようなB2B ECプラットフォームを選ぶことは優れた第一歩です。Shopifyは市場で最もコンバージョン率の高いチェックアウトをストアオーナーに提供しています。
では、コンバージョン率を向上させ、サイト改善の指標として活用するにはどうすればよいでしょうか?
- コンバージョン率は、マーケティング戦略の効果を判断するための主要KPI
- インプレッション、SNSエンゲージメント、閲覧数、サイト訪問のうち、どれだけが売上につながったかを測定する
- デジタルキャンペーンに依存するEC企業では、大量のインプレッションが発生するため、2%のコンバージョン率でも成功とみなされる
- B2B企業は、ウェブサイトの最適化と説得力のあるCTA(行動喚起)の活用によってコンバージョン率を改善できる
カート放棄率
簡単でストレスのないチェックアウトは、B2B売上を伸ばす最も確実な方法の一つです。見込み客がカートに商品を入れた後の行動を分析し、チェックアウト体験を評価しましょう
- カート放棄率は、商品をカートに入れたものの購入に至らなかった訪問者の割合を測定する。
- EC企業にとって、この指標はチェックアウトプロセスにおける摩擦を明らかにする
- シンプルで使いやすいチェックアウトを構築することで、この指標を改善しオンライン売上を増加させることが可能
ECストア利用率
顧客は、構築したオンラインストアを実際に使っているでしょうか?ウェブストア利用率は、顧客が従来のように電話やメールで注文するのではなく、オンラインで注文や請求書確認を行っている割合を示します。
これは2つの観点から確認できます。
- 全注文のうち、ウェブストア経由の割合はどのくらいか?
- アクティブアカウントのうち、ログインして利用しているアカウントの割合はどのくらいか?
顧客がセルフサービスで注文すると、営業やサポートスタッフが他の業務に集中できるため、利益率が向上するケースが多く見られます。高付加価値な業務により多くの時間を割き、受注入力や事務作業を減らせるのです。
これらの数値が低い場合、ECプラットフォームへの投資に対する十分なROIが得られていない可能性があります。
パンチアウト/EDI注文比率
EDI(Electronic Data Interchange:電子データ交換)注文比率は、調達システム連携を通じて処理される注文の割合を測定します。最新のパンチアウトカタログであれ、従来型のEDIであれ同様です。
自社ストアをSAP Ariba、Coupa、Jaggaerなどのバイヤーシステムに接続すると、バイヤーにとって購入が非常に容易になります。バイヤーは自社システムから御社のサイトで買い物をし、注文は承認のために送り返されます。
追跡方法はシンプルで、これらの連携チャネル経由の注文が全注文に占める割合を確認するだけです。
顧客獲得とリテンションのKPI
B2Bの営業サイクルは長く複雑で、複数のステークホルダーが関与する傾向があります。
しかし、B2B ECは多くのインタラクションと顧客接点を伴うため、顧客基盤に関する豊富なインテリジェンスを得ることができます。以下の3つの主要KPIで分析してみましょう。
顧客獲得コスト(CAC)
新規顧客を獲得するマーケティングキャンペーンは、一見すると大きな成果に見えます。しかし、獲得した顧客の価値は、彼らを引きつけるために費やしたリソースと比較してどうでしょうか?
- 顧客獲得コスト(CAC:Customer Acquisition Cost)は、新規顧客を獲得するためのコストを測定する
- CACはマーケティングキャンペーンの効果と予算配分の適切さを評価する
- ターゲットを絞ったコンテンツマーケティング戦略の実施により、CACの削減が期待できる
- CACは、マーケティング施策の効果と効率を示す指標
顧客維持率(CRR)
B2Bの核心的なメリットの一つは、頻繁に大量購入する卸売バイヤーを獲得できること。月次、週次、あるいは日次で購入するロイヤル顧客は、長期的に莫大なリターンをもたらします。
- 顧客維持率(CRR:Customer Retention Rate)は、オンラインストアで継続的に購入する顧客の割合を測定する
- CRRが低い場合、カスタマーサービスに問題がある可能性を示唆する
- 既存顧客の維持は、新規顧客の獲得よりもコスト効率が高いことが多い
- 平均的なCRRは業界によって異なるため、自社の業界の水準を参考にCRR目標を設定するのがおすすめ
DSOと請求書精度
これらのKPIは、キャッシュコンバージョンの健全性、つまり売上をどれだけ早く現金化できるかを追跡します。2つの数値がこのストーリーを語ります。
- 売上債権回転日数(DSO:Days Sales Outstanding)は、販売後に代金を回収するまでの日数を追跡する
- 請求書精度は、発行した請求書のうち、異議申し立てや拒否なく問題なく支払われた割合を追跡する
DSOが上昇し始めると、運転資金が顧客の銀行口座に滞留していることを意味します。2026年に多くの組織が注力している課題であり、その大半は請求システムの不備に起因しています。
例えば、2024年のデータ(英語ページ)によると、トップクラスのチームの請求書例外率は9%であるのに対し、その他の平均は22%です。同じトップパフォーマーは請求書を3日で処理しますが、その他は約17日かかっています。例外率10%未満を目指し、少なくとも50%の請求書を人手を介さずに処理できる体制を構築しましょう。
受注・売上・アカウントの健全性
顧客行動をさらに詳しく見てみましょう。注文金額と頻度の分析は、予測可能な収益源を理解するのに役立ちます。これはビジネスの安定性と成長の基盤です。
平均注文額(AOV)
平均注文額(AOV:Average Order Value)は、総売上を注文数で割って算出します。すでに自社商品に熱心なバイヤーを特定するのに有効な指標です
- AOVは、1注文あたりの平均支出額を示す
- AOVの上昇は、リマーケティング戦略の成功と幅広い商品ラインナップを示唆する
- リピート訪問に影響する要因には、ナビゲーション、セキュリティ、注文プロセスなどがある
- AOVは、顧客が通常の注文でどれだけ支出するかを測定することで、顧客の「質」を評価する
注文頻度
新規バイヤーを市場で獲得しようとするよりも、既存顧客の購入頻度を高める方がコスト効率に優れています。注文頻度の最適化を目指しましょう。
- 注文頻度は、顧客が年間にどのくらいの頻度で購入するかを測定する
- 注文頻度の向上は、顧客ロイヤルティと生涯価値の強化につながる
- 注文頻度を重視することで、高価値顧客に合わせたマーケティング戦略を策定できる
月次経常収益(MRR)
月次経常収益(MRR:Monthly Recurring Revenue)は、サブスクリプションや契約などの顧客との支払い合意に基づき、毎月確実に受け取れる金額です。一回限りの購入は含みません。
- MRRは予測可能な収益源
- MRRは、経常的なビジネスパフォーマンスの明確な全体像を提供する
- キャンペーン別MRRはマーケティングの効果を定量化し、予算の正当性を裏付ける
- MRRを増やす最善の方法は、既存顧客へのアップセル
見積もりから受注までのサイクルタイム
承認待ちの受信トレイの中で、どれだけの案件が停滞しているでしょうか?見積もりから受注までのサイクルタイムは、営業担当者が見積もりを作成してから正式に受注されるまでの総経過時間を監視します。
- CRM(顧客関係管理プラットフォーム)で追跡する。担当者が承認申請を提出した時点で計測を開始し、注文が正式に確定した時点で終了
- 厳格に管理する。特別条件のない標準的な見積もりは、48時間以内に完了すべき
- 複雑な案件には、各承認階層に明確なSLA(サービスレベル合意)を設定する。例えば、マネージャー承認は24時間以内、法務は3日以内。違反は自動的にフラグを立てる
- CPQやコマースプラットフォームを活用してルーティングを自動化し、並行承認を可能にする
顧客生涯価値とROI
顧客行動のインサイトを長期的かつ包括的な数値に統合することで、ビジネスの方向性を導くことができます。
顧客生涯価値(CLV)
優れたECリーダーは顧客生涯価値(CLV:Customer Lifetime Value)を理解し、単に顧客を獲得するだけでなく、適切な顧客を獲得することに注力しています。
- CLVは、特定の顧客から取引関係全体を通じて期待できる総収益を推定する
- CLVは高価値顧客を特定し、ターゲットを絞ったマーケティングや営業活動のために顧客基盤をセグメント化するのに役立つ
- CLVは、一人の顧客がビジネス関係の期間中に企業に支出すると予測される総額を測定する
投資利益率(ROI)
投資利益率(ROI:Return on Investment)は、ビジネスに投入した資本に対して得られるリターンです。元本に対するパーセンテージの利益(または損失)として表現するのが最適です。
- ROIはマクロレベルでもミクロレベルでも適用可能
- 成功している企業は、主要な意思決定のROIを分析してその影響を判断
- ROIを追跡することで、投入リソースに対する価値を改善し、収益性をアップ
- ROIは、マーケティングキャンペーンやビジネス上の意思決定に対するリターンを測定
リード獲得とコンバージョン
商品への関心をどれだけ効果的に喚起し、興味を持った見込み客を新規顧客に転換できるかも、B2B ECの重要なKPIです。見込み客(リード)は、主に2つのカテゴリーに分類されます。
マーケティング適格リード(MQL)
すべてのリードが同じ価値を持つわけではありません。すでに商品に関与している質の高いリードは、マーケティング施策の効果や期待できるコンバージョン率について何を教えてくれるでしょうか?
- MQL(Marketing Qualified Lead)は、顧客になる可能性が高い営業リード
- マーケティング活動によって見込みバイヤーの間に商品への関心が生まれ、セールスファネルに入った状態
- MQLの数と質、そしてファネル内のどの段階にいるかは、マーケティング施策の効果を判断するための貴重なデータとなる
営業適格リード(SQL)
営業適格リード(SQL:Sales Qualified Lead)は、MQLの中でも特に購入準備が整っており、営業アプローチの対象とすべきリードです。SQLはコンバージョンの最終段階を表し、企業のアウトリーチ活動の重要なKPIとなります。
- SQLは、マーケティングチームと営業チームによって精査され、購入の可能性が高いと判断された見込み顧客
- SQLは購入意思を示し、組織のリード適格基準を満たしている
- セールスファネルのより深い段階にあり、効果的な営業戦略の証
リードから顧客へのコンバージョン率
効果的なリード獲得手法には、SEO、見込み客にとって重要なトピックに関するナレッジベースコンテンツの提供、最適なB2Bマーケットプレイスでの商品販売などがあります。次のステップは、これらの手法がどれだけ効果的に新規顧客を獲得しているかを分析することです。
- リードから顧客へのコンバージョン率は、リード獲得戦略と営業戦略の効果を測定する
- 新しいコンバージョン戦略を導入するたびに、リードからコンバージョンへの率の変化を測定し、何がうまくいっているか、どう改善できるかを評価する
- リードからコンバージョンへの比率は、適格なB2Bリードのうち最終的に顧客となった割合を測定する
マーケットプレイスと卸売
流通取引総額(GMV)
流通取引総額(GMV:Gross Merchandise Volume)は、流通取引総額(Gross Merchandise Value)とも呼ばれ、価格設定の構造を決定し、月ごとのビジネス戦略を形作るのに役立つ基本的なEC KPIです。
- GMVは、送料などの経費を差し引く前の、マーケットプレイスを通じて販売された商品の総売上額
- GMVはマーケットプレイスの健全性を示す重要な指標
- GMVは顧客トレンドの特定と活用に役立つ。例えば、ホリデーシーズンにGMVが急増する場合、その期間の在庫を増やし、特別プロモーションを検討するとよい
初回販売までの時間
マーケットプレイスに新しいセラーを迎え入れた際、実際に商品が売れるまでどのくらいかかるでしょうか?これはセラーにとっての「価値実現までの時間」であり、健全なオンボーディングプロセスを示す最も明確なシグナルの一つです。
新規セラーが早く初回販売を達成するほど、エンゲージメントが高まり、商品追加のペースも上がり、マーケットプレイス全体の成長が加速します。
- セラーの稼働開始日から初回取引日までの日数を計測する
- 積極的にオンボーディングを支援するセラーについては、30日以内の初回販売を目標に
- 成功への明確な道筋を提供する。具体的には、事前構築済みのカタログテンプレート、一括アップロードツール、コンテンツ・価格設定・フルフィルメントの準備を整えるためのシンプルなチェックリストなど
セラー継続率とバイヤー対セラー比率
この2つの指標は、マーケットプレイスのエコシステム全体のバランスを保つために重要です。
- セラー継続率:アクティブなセラーは定着しているか、それとも常に補充が必要な状態か?高い継続率は、安定した高品質な品揃えの維持に不可欠
- バイヤー対セラー比率:需要と供給のバランスは適切か?バイヤーに対してセラーが多すぎると、セラーの不満につながる。逆に商品に対してバイヤーが多すぎると、品切れの印象を与えてしまう
継続率は主要カテゴリーで80〜90%を目指しましょう。比率については、カテゴリーごとに適切なバランスを見つけることが重要です。セラーが多すぎる場合は、バイヤーを増やすマーケティングキャンペーンの実施を検討する。バイヤーが多すぎる場合は、そのカテゴリーで新規セラーを募集する時期です。
在庫管理とフルフィルメント
在庫とフルフィルメントのモニタリングは、重要な販売期間中の在庫切れを防ぐだけでなく、過剰在庫の回避にも役立ちます。特に生鮮品や時間的制約のある商品を扱う業界では、過剰在庫も非常にコストがかかります。
在庫回転率
在庫回転率は、売上原価を平均在庫額で割って算出します。価格設定、仕入れスケジュール、製造量の微調整に役立つKPIです。
- 在庫回転率は、指定された期間内にどれだけ効率的に在庫を販売しているかを測定する
- 高い回転率は効果的な在庫管理を示し、低い回転率は在庫戦略に潜在的な問題があることを示唆する
- 在庫回転率は、ビジネスの効率性を理解するための重要な指標
OTIF(定時完納率)とフィルレート
OTIF(On-Time, In-Full)は、注文が約束通りの期日に、かつ完全な状態で届いているかを示します。フィルレートはその補完指標で、手持ち在庫から即座に出荷できた注文の割合を測定します。
OTIFとフィルレートが高ければ、緊急出荷にかかるコストが減り、チャージバックも少なくなり、顧客の定着率も向上します。
- OTIFの計算式:(定時かつ完全な注文数 ÷ 総注文数)× 100。フィルレートは(完全に充足された注文数 ÷ 総注文数)× 100
- 自社のベースラインを設定しつつ、成熟した企業はOTIF 95〜98%、主要在庫品目のフィルレート95%以上を目標としていることを参考に
- 最も価値の高いベストセラー商品の需要予測を改善し、サプライヤーのリードタイムを短縮し、主要契約アカウント向けの在庫を確保する
バックオーダー率とRMA(返品承認)率
この2つのKPIは、在庫システムにおける摩擦を測定します。バックオーダー率は、顧客が購入しようとしたが在庫切れで購入できなかった頻度を追跡。RMA(Return Merchandise Authorization:返品承認)率は、出荷した商品のうち返品された割合を監視します。
- バックオーダー率はラインアイテム単位で追跡:(バックオーダー品目数 ÷ 総注文品目数)× 100
- 返品は注文単位またはユニット単位で追跡可能:(RMA発生注文数 ÷ 総注文数)または(返品ユニット数 ÷ 出荷ユニット数)
- 主要商品のバックオーダー率は2〜3%未満を目標に
顧客エンゲージメントと満足度
顧客満足はあらゆるビジネスのKPIですが、B2B ECではその重要性が何倍にもなります。大口顧客の獲得に多大なリソースを投じてきたのであれば、その関係を維持することが極めて重要です。
以下の指標で評価してみましょう。
ネットプロモータースコア(NPS)
ネットプロモーター調査は、顧客に標準化された質問をします。「0から10のスケールで、私たちを友人に薦める可能性はどのくらいですか?」この結果得られるネットプロモータースコア(NPS:Net Promoter Score)は、シンプルでコスト効率の高いKPIです。
- NPSはユーザー満足度を測定する
- NPSは顧客ロイヤルティを測る重要な指標
- NPSは広く使われているため、業界平均と比較することで多くの示唆が得られる
- NPSには予測的価値がある。NPSの改善は顧客満足度の向上を示し、売上増加につながる可能性がある。NPSの低下は企業の不健全さを示唆し、問題が解決されるまで売上減少につながる傾向がある
リピート購入率
顧客が再び補充のために戻ってくるのは、購入品に満足しているから(そして明らかに、その顧客の顧客も満足しているから)です。リピート購入はB2B ECを円滑に回し続ける原動力です。
以下の点を検討してみましょう。
- 顧客基盤は商品に満足しているか
- どのくらいの頻度で追加購入のために戻ってくるか
- 解約率はどの程度か
- リピート顧客はCLVが高く、商品やサービスに対する顧客満足を示す
アカウント浸透率
顧客が「粘着性」を持っているか、つまり多くの異なる商品やカテゴリーを購入しているかを知ることも重要な指標です。複数カテゴリーから購入する顧客は解約しにくく、クロスセルの機会も広がります。
- 顧客が購入した異なるSKU数、またはより戦略的には、購入したカテゴリー数で測定する
- 「すべての主要アカウントに少なくとも3カテゴリーから購入してもらう」といったシンプルな目標を設定する
- スマートなバンドルの作成、自動補充レコメンデーションの送信、あるいはアカウントがより多くのカテゴリーから購入した場合に契約価格を優遇するなどの施策が有効
財務パフォーマンス
ビジネスの財務パフォーマンスをモニタリングする際には、以下の指標を念頭に置きましょう。
売上成長率
マクロレベルでもミクロレベルでも、自社がどれだけの収益を上げているかを監視することが重要です。
- 売上成長率は、ある期間から次の期間への売上の変化を測定する
- 売上成長率は、収益が加速しているのか、横ばいなのか、減速しているのかを理解するのに役立つ
- 売上成長率は、ビジネスパフォーマンスを理解するための重要な指標
利益率
「良い」利益率の基準は業界によって異なりますが(オーバーヘッド、競争環境などの要因を考慮)、最終的には企業の立ち位置を決定づけるKPIです。以下の計算式で算出します。
利益率 =(粗利益 ÷ 純売上高)× 100
- 利益率は、ビジネスがどれだけ効率的に売上を利益に変換しているかを示す
- 利益率は、企業の全体的な財務健全性を示す
- 利益率は、コストをカバーした後にどれだけ手元に残るかを明らかにする
トラッキングとレポーティング
ビジネス運営において、KPIは常に意識すべきです。KPIから得た学びを目標に反映させましょう。
EC指標を定期的にトラッキングする方法
本記事で取り上げたCAC、AOV、コンバージョン率、利益率などのEC指標をモニタリングし、スマートでインパクトのある意思決定を行いましょう。
- 指標は定期的に追跡し、ビジネスパフォーマンスを把握することが重要
- 追跡の頻度は、ビジネスの性質と目標によって異なる
- EC指標を定期的に追跡することで、データに基づいた意思決定が可能になる
KPIレポーティングのベストプラクティス
KPIの分析に多大な労力を費やしても、そのインテリジェンスを意味のあるアクションに変えなければ意味がありません。アナリティクスは企業の健全性を示す生きた指標であり、その活用は継続的で常に変化するプロセスです。
- KPIは、事前に設定した指標を追跡するビジュアル形式でレポートする
- KPIレポーティングは、ビジネスパフォーマンスの理解とデータドリブンな意思決定に有益
- KPIレポーティングのベストプラクティスには、明確な目標設定、適切な指標の使用、レポーティング戦略の定期的な見直しと改善が含まれる
B2B革命を自社の差別化要因に
B2B ECは急成長を遂げている業界であり、あらゆる業種のブランドがその恩恵を得ようとしのぎを削っています。KPIは、築き上げたものを育て、スケールさせるための信頼できる指針を提供します。
適切なECプラットフォームの選択も、成功への布石となります。Shopifyは、サイト速度の向上、在庫管理のパーソナライズ、理想的なコンバージョン率の実現を支援し、さらにはD2Cの個性をB2B体験に融合させることも可能です。御社が業界のスタンダードを打ち立てる存在になれるかもしれません。
B2B向けECのKPIに関するよくある質問
B2B KPIとは?
B2B KPIとは、B2Bコマースにおいてビジネス目標をどれだけ効果的に達成しているかを測る指標です。
ECにおける主要なKPIは?
B2B ECの主要なKPIには、コンバージョン率などのウェブサイトパフォーマンスKPI、CRRなどの顧客獲得・維持KPI、CLVなどの顧客行動インサイトが含まれます。
B2B ECにおける顧客維持率とは?
顧客維持率(CRR)は、オンラインストアで継続的に購入する顧客の割合を測定します。CRRが低い場合、カスタマーサービスに問題がある可能性があります。CRRは業界によって異なるため、自社の業界の水準を参考にCRR目標を設定することが重要です。
B2B ECにおける平均注文額とは?
平均注文額(AOV)は、顧客が通常の注文でどれだけ支出するかを測定することで、B2B顧客の「質」を評価します。AOVの上昇は、リマーケティング戦略の成功と幅広い商品ラインナップを示すことが多いです。AOVは、顧客の総売上を注文数で割って算出します。




