ECサイトでは、取り扱う商品が増えるほど、顧客が求める商品を見つけやすい環境づくりが重要です。商品カテゴリーや価格、サイズなどの条件を指定して表示商品を絞り込める「フィルタリング機能」は、こうした商品探しを支える代表的な仕組みです。また、フィルタリング機能を使って条件を指定し、目的の商品を探す方法は、「絞り込み検索」と呼ばれます。
ZETA株式会社が2025年12月に実施した調査では、ECサイトを月1回以上利用する人のうち、47.8%が商品を探す際に「絞り込み検索」を利用すると回答しました。また、ECサイトの商品検索で重視することとして、「欲しい商品が正確にヒットすること」が43.8%で最多となっています。
フィルタリング機能を実装することで、顧客は膨大な商品の中から条件に合うものを探しやすくなり、商品を比較検討する際の負担を減らせます。
この記事では、eコマースのフィルタリング機能の仕組みや種類、絞り込み検索の改善ポイントに加え、Shopify(ショッピファイ)での設定方法や国内ECサイトの活用例を紹介します。

eコマースのフィルタリング機能とは
eコマースのフィルタリング機能とは、ECサイトの商品一覧ページや検索結果ページで、サイズや色、価格、素材、在庫状況などの条件を指定し、表示する商品を絞り込む機能です。
フィルタリング機能とサイト内検索の違い
フィルタリング機能とサイト内検索は、どちらも商品を探す仕組みですが、使い方が異なります。サイト内検索は、検索バーに商品名やカテゴリーなどのキーワードを入力して商品を探す機能です。一方、フィルタリング機能は、商品一覧や検索結果からサイズや色、価格などの条件を選んで候補を絞り込みます。たとえば、「ワンピース」と検索した後に「黒」「Mサイズ」「1万円以下」などの条件を追加し、商品を絞り込むことができます。
フィルタリング機能と並べ替え機能の違い
フィルタリング機能は、条件に合う商品だけを表示して候補を絞り込む機能ですが、並べ替え機能は、表示件数を減らさず、「価格の安い順」「新着順」「人気順」などの基準で表示順を変更します。
両機能を組み合わせれば、フィルターで条件に合う商品へ絞り込んだ後に「価格の安い順」に並べ替えて比較できます。フィルタリング機能と並べ替え機能の両方を用意することで、顧客は候補を絞り込むだけでなく、自分が重視する基準に合わせてよりスムーズに商品を確認できるようになります。
フィルタリング機能とファセットナビゲーションの違い
ファセットナビゲーションが、商品をサイズや色、価格、素材など複数の属性で分類し、それらを組み合わせて絞り込めるようにする構造を指すのに対し、フィルタリング機能は、その構造をもとに、顧客がチェックボックスやスライダー、プルダウンなどから条件を選ぶための操作部分を指します。似た意味で使われますが、厳密には意味が異なります。

ECサイトにフィルタリング機能を導入するメリット
顧客が求める商品を探しやすい環境を整えられる
商品数が多いECサイトでは、商品一覧を順番に見ていくだけでは、顧客が求める商品にたどり着くまでに時間がかかります。フィルタリング機能を設けることで、価格やサイズ、色などの条件から候補を絞り込めるようになり、購買に至る導線を大幅に短縮できます。
新しい商品の発見を促せる
フィルタリング機能は、購入する商品がまだ決まっていない顧客にも有効です。SEOやコンテンツマーケティングなどのインバウンドマーケティング経由でECサイトを訪れた顧客に対しても、希望条件から商品を探せる環境を整えることで、それまで知らなかった商品や検討していなかった新しい商品を見つけやすくなります。
商品数が多くても比較検討がしやすくなる
取り扱う商品が増えるほど、顧客は豊富な選択肢の中から自分に合う商品を探す必要があります。フィルタリング機能で価格やサイズ、色などの条件から候補を絞り込めるようにすれば、豊富な品揃えと探しやすさを両立できます。これにより、顧客は条件に合う商品を効率よく比較検討できるようになります。

ECサイトで使われるフィルターの例
- 価格:指定した価格帯の商品だけを表示します。「5,000円以下」「5,000〜10,000円」などの選択肢や、スライダー形式で設定できます。
- サイズ:衣料品、靴、家具などを、サイズや寸法で絞り込みます。
- 色:希望するカラーの商品だけを表示します。アパレルやインテリア、雑貨などでよく使われます。
- 素材:綿、革、木材など、商品の素材をもとに絞り込みます。
- カテゴリー:「メンズ」「レディース」「トップス」「パンツ」「アウター」「ワンピース」など、カテゴリーやサブカテゴリーで商品を絞り込みます。
- 在庫状況:「在庫あり」の商品のみを表示するなど、購入可能な商品に絞り込めます。
- 評価:レビューの星の数や評価点をもとに商品を絞り込みます。
- ブランド:特定のブランドの商品だけを表示します。
- 用途・シーン:「通勤」「旅行」「アウトドア」「ランニング」など、使用目的や利用シーンに合わせて商品を絞り込みます。

ECサイトのフィルタリング機能の代表的な表示形式
フィルターは、絞り込み条件の内容や選択肢の数に合わせて、適切な表示形式を使い分けることが大切です。代表的な表示形式には、次のようなものがあります。
- チェックボックス:複数の条件を同時に選択できる形式です。サイズやブランド、素材など、複数の条件を同時に選択したい場合に向いています。
- ドロップダウン(プルダウン):選択肢を折りたたんで表示する形式です。項目が多い場合でも、表示スペースを抑えて選択肢を提示できます。
- レンジスライダー:価格や寸法など、数値の範囲を指定するときに使われます。つまみを左右に動かして、希望する範囲の商品に絞り込めます。
- カラースウォッチ:色名だけでなく、色見本を表示して選択する形式です。アパレルや家具、雑貨など、色を見ながら選びたい商品に適しています。
- トグル:条件をオン/オフで切り替える形式です。「在庫ありのみ」「セール商品のみ」のように、1つの条件を適用するかどうかを選ぶ場合に向いています。
- チップ:選択中のフィルター条件を、小さなラベル状で表示する形式です。「ブラック ×」「Mサイズ ×」のように、現在の適用条件を確認でき、個別に解除することもできます。
フィルターの表示形式は、見た目だけでなく操作のしやすさにも影響します。たとえば、ブランドやサイズには複数選択しやすいチェックボックス、価格には範囲を指定できるスライダーを使うなど、絞り込み条件の特徴に合った形式を選びましょう。
また、スマートフォンでは表示できる範囲が限られるため、フィルターを折りたたんだり、選択中の条件をわかりやすく表示したりする工夫も重要です。

ECサイトのフィルタリング機能を改善する8つのポイント
- 商品に合った絞り込み条件を設定する
- 複数選択や商品件数の表示に対応する
- スマートフォンを前提にする
- アクセシビリティに配慮する
- 検索結果が0件になりにくくする
- 商品データの表記を統一する
- 顧客の利用状況に合わせて見直す
- フィルターURLのSEO対策を行う
1. 商品に合った絞り込み条件を設定する
顧客が商品を選ぶときに重視する条件をもとに、フィルターを設定します。たとえば、アパレルならサイズや色、家具なら寸法や素材、化粧品なら肌質や悩みなど、商品カテゴリーに合わせて条件を工夫しましょう。
2. 複数選択や商品件数の表示に対応する
同じ項目から複数の条件を選べるようにすれば、「ブラック」と「ネイビー」の両方を表示するなど、顧客が希望に近い商品をまとめて確認できます。
また、「ブラック(28)」「ホワイト(15)」のように条件ごとの商品件数を表示すれば、フィルターを適用する前に、該当する商品がどの程度あるかを把握できます。
3. スマートフォンを前提にする
スマートフォンでは画面に表示できる情報が限られるため、フィルターの開閉や条件の選択、解除を簡単に行える設計が重要です。選択中の条件をわかりやすく表示し、少ない操作で条件の変更や商品一覧への移動ができるようにしましょう。
4. アクセシビリティに配慮する
フィルターは、さまざまな顧客が利用しやすいようにアクセシビリティに配慮して設計することも重要です。たとえば、カラースウォッチでは色見本に加え、「ブラック」「ネイビー」といった色名も併記することで、画面越しの色だけでは判別しにくい顧客にも条件が伝わりやすくなります。
また、チェックボックスやボタンにわかりやすいラベルを設定し、キーボード操作に対応できるようにするほか、選択中のフィルターをわかりやすく表示し、個別に解除できるようにしておくことも大切です。
5. 検索結果が0件になりにくくする
複数の条件を組み合わせた結果、検索結果0件となると、顧客が商品探しを続けづらくなり、機会損失につながるリスクがあります。
該当商品が0件になる条件を選択できないようにしたり、条件ごとの商品件数をあらかじめ表示したりすることで、検索結果が0件になるのを防ぎやすくなります。
検索結果が0件になった場合でも、選択中の条件を簡単に解除できるようにするなど、商品探しを続けられる導線を用意しましょう。
6. 商品データの表記を統一する
フィルタリング機能では、商品に登録されているカテゴリーや色、サイズ、素材などの情報をもとに商品を絞り込みます。そのため、商品データの表記にばらつきがあると、正確に絞り込めなくなる場合があります。
たとえば、同じ色の商品に「ネイビー」「紺」「NAVY」と異なる名称を登録すると、別の条件として扱われたり、一部の商品が絞り込み結果から漏れたりする可能性があります。サイズについても、「M」「Medium」「Mサイズ」などの表記が混在しないように表記を統一しましょう。
新しい商品を登録するときのルールを決め、カテゴリーや商品オプション、メタフィールドなどの値を統一して管理することで、フィルターの精度を保ちやすくなります。
Shopifyでは、Search & Discoveryで複数の絞り込み値を1つにグループ化することができます。たとえば、「ネイビー」「紺」「NAVY」などを1つの値にまとめて表示するといった設定が可能です。標準の商品属性を使ったフィルターでは、値を自動または手動でグループ化できます。
7. 顧客の利用状況に合わせて見直す
GA4などのアクセス解析ツールで、フィルターの選択をイベントとして計測するよう設定しておくことで、顧客によく利用されている絞り込み条件などの傾向を分析できます。
解析により利用頻度が低いと判明したフィルターは、項目を減らしたり表示順を変更したりすることを検討しましょう。一方、顧客が商品を選ぶ際に重視している条件が不足している場合は、新しいフィルターの追加を検討します。
商品構成や顧客のニーズは変化するため、新しいカテゴリーや取り扱う商品が増えた際にはフィルターを調整し、現在の商品ラインナップに合った最適な絞り込み環境を維持しましょう。
8. フィルターURLのSEO対策を行う
フィルターの条件ごとにURLが生成されるECサイトでは、色やサイズ、価格などの組み合わせによって、内容の似たページが大量に作られることがあります。検索エンジンがこうしたURLを大量にクロールすると、重要な商品ページやカテゴリーページの発見が遅れる可能性があります。
そのため、検索結果に表示させたいフィルターページと、クロールさせる必要のないページを整理してSEO対策を行うことが重要です。たとえば、不要なフィルターURLはrobots.txtでクロールを制限する方法があります。

ShopifyでECサイトのフィルタリング機能を設定する方法
1. テーマがフィルタリング機能に対応しているか確認する
ShopifyではSearch & Discoveryアプリを使ってフィルターを設定できます。ただし、使用しているテーマがフィルタリング機能に対応していない場合、ストア上にフィルターが表示されません。既存のストアにフィルターを追加する場合は、まず使用中のテーマがフィルタリング機能に対応しているかを確認しましょう。
テーマによってフィルターの表示方法は異なるため、新しくテーマを選ぶ場合はモバイルでの操作性も確認しましょう。
なお、商品数が5,000点を超えるコレクションではフィルターが表示されないため、商品数が多い場合はコレクションの構成にも注意が必要です。
また、使用しているテーマがフィルタリング機能に対応していない場合は、Shopify App Storeで提供されている外部アプリを利用する方法もあります。
2. 標準フィルターを設定する
販売状況、カテゴリー、価格、商品タイプ、タグ、販売元は、Shopifyで標準フィルターとして利用できます。設定はSearch & Discoveryから行います。
- Shopify管理画面から [アプリ] > [Search & Discovery] を開く
- [フィルター] > [フィルターを追加] をクリックする
- [ソース] から、フィルターとして使用する商品情報を選択する
- 必要に応じて、フィルター名や表示形式、値の並び順などを設定する
- [保存] をクリックする
設定したフィルターは、該当する商品があるコレクションページや検索結果ページに表示されます。
3. メタフィールドで独自のフィルターを作成する
標準フィルターにない条件で商品を絞り込みたい場合は、メタフィールドを利用できます。メタフィールドとは、商品に独自の商品情報を追加するための機能です。たとえば、腕時計に「防水性能」、家具に「幅」といった項目を追加できます。
メタフィールドをフィルターとして利用する場合は、まず商品情報を作成し、その後にSearch & Discoveryでフィルター項目として追加します。
- Shopify管理画面から[設定] > [メタフィールドとメタオブジェクト] を開く
- [商品のメタフィールド] > [定義を追加] を選び、[防水性能] など追加したい項目を作成する
- [商品] から対象の商品を開き、作成したメタフィールドにそれぞれ値を入力して保存する
- [アプリ] > [Search & Discovery] > [フィルター] > [フィルターを追加] を開く
- [ソース] から、作成したメタフィールドを選択して保存する
これで、「防水性能」などの商品独自の情報を、顧客が商品を絞り込むためのフィルターとして利用できるようになります。メタフィールドに値が登録されていない商品は、その条件で絞り込んだ際には表示されないため、対象商品の情報をそろえておくことも重要です。
国内ECサイトのフィルタリング機能活用例
1. ちいかわマーケット
「ちいかわ」の公式オンラインストアであるちいかわマーケットでは、在庫状況や価格、商品カテゴリのほかに、キャラクターやシリーズといった、ストアならではの商品属性で商品を絞り込めるようになっています。
数多くのグッズの中から推しのキャラクターの商品を探したい場合や、新しいシリーズの商品だけを見たい場合など、顧客の探し方に寄り添った条件が設定されています。
2. SANYO ONLINE STORE
三陽商会が運営するSANYO ONLINE STORE(サンヨーオンラインストア)では、ブランドやアイテムカテゴリーに加え、「サイズ」「柄」「価格」「在庫」など複数の条件から商品を絞り込めます。サイズはアパレルとシューズで分けられており、柄も「ボーダー」「チェック」「花柄」など細かく設定されています。
さらに、各条件には該当する商品数が表示されるため、顧客はフィルターを選択する前に、どの程度の商品点数があるかを確認できます。サイズやデザインの好みが商品選びに大きく影響するアパレルECでは、こうした具体的な条件を用意することで、多数の商品から候補を絞り込みやすくなります。
3. KANADEMONO
家具ブランドのKANADEMONO(カナデモノ)では、サイズや素材といった商品情報だけでなく、顧客の好みや利用シーンをもとに商品を探せる仕組みを用意しています。
「好みのスタイルを探す」では、「テイスト」「部屋」「使用アイテム」の3つの条件から絞り込みが可能です。
家具のように「こんな雰囲気の部屋にしたい」「この場所に置く家具を探したい」と考えて商品を探すことが多い商材では、顧客の目的やイメージに合わせた絞り込み条件を用意することで、求める商品とのスムーズな出会いを創出できます。
4. @cosme SHOPPING
化粧品ECの@cosme SHOPPING(アットコスメショッピング)では、価格などの一般的な条件に加え、「こだわり条件検索」によって化粧品特有の細かなニーズに応じた条件で商品を絞り込めます。スキンケアでは、「毛穴」「乾燥」「ニキビ予防」といった肌悩みのほか、「ヒアルロン酸」「ビタミンC」などの成分、さらには「普通肌」「乾燥肌」「脂性肌」「敏感肌」などの肌質を選択できます。
化粧品の場合、顧客が必ずしも具体的な商品名を指定して検索するとは限りません。「乾燥が気になる」「SPF50以上の日焼け止めが欲しい」といった悩みや条件から商品を探せるようにすることで、顧客の商品選びに合った絞り込みが可能になります。
5. モノタロウ
工具や工業用品などを扱うモノタロウでは、商品カテゴリーごとに専門的な仕様をフィルターとして活用しています。
たとえば、木ねじ・ドリルねじの商品一覧では、「頭部形状」「長さ」「ねじの呼び」「材質」「取付穴形状」「表面処理」などから商品を絞り込めます。名称だけではわかりづらい頭部の形状や取付穴については、それぞれイラストをつけています。
専門商材では、見た目や価格以上に寸法や材質、規格などが商品を選ぶうえで重要な条件になります。こうした商品選定に必要な仕様をそのままフィルターにすることで、膨大な商品の中から条件に合う商品を効率よく絞り込めるようにしています。
まとめ
ECサイトのフィルタリング機能は、価格やサイズ、色、カテゴリーなどの条件で商品を絞り込み、顧客が求める商品を探しやすくする機能です。取扱商品が多いECサイトほど、商材の特性や商品ターゲットに適した条件を設定し、使いやすく表示することが重要です。
フィルターを設計する際は、複数選択や商品件数の表示、スマートフォンでの操作性、検索結果が0件になった場合の対策なども検討しましょう。フィルター設定によって不要なURLが増えてしまう場合は、適切なSEO対策を講じましょう。
Shopifyでは、Shopify Search & Discoveryで標準フィルターを設定できるほか、商品オプションやメタフィールドを活用した独自のフィルターも作成できます。顧客の探し方に合わせたフィルタリング機能を構築し、目的の商品を見つけやすいECサイトづくりにつなげましょう。
eコマースのフィルタリング機能に関するよくある質問
Shopifyでフィルタリング機能を設定できる?
はい、設定できます。ShopifyではShopify Search & Discoveryアプリを使って、価格や商品タイプなどのフィルターを設定できます。また、商品オプションやメタフィールドを活用すれば、サイズや色、商品独自の属性を使ったフィルターも作成できます。
サイト内検索とフィルタリング機能の違いは?
サイト内検索は、検索バーに商品名やカテゴリーなどのキーワードを入力して商品を探す機能です。一方、フィルタリング機能は、商品一覧や検索結果から価格やサイズなどの条件を指定し、表示候補を絞り込みます。
ECサイトにはフィルターをいくつ設定すべき?
フィルターの数に決まりはありません。商品数やカテゴリー、顧客が商品を選ぶときに重視する条件に合わせて設定します。必要以上に増やすと探しにくくなるため、購入判断に直結する項目を優先して絞り込むのがおすすめです。




