既存顧客や見込み顧客に送信するメールの効果を高めるには、A/Bテストによる検証と改善が適しています。件名やデザインなどを変えた2つの異なるバージョンのメルマガを配信し、開封率やクリック率、コンバージョン率などの指標を比較することで、より効果的なメールマーケティング戦略を立案できるようになります。
この記事では、メルマガにおけるA/Bテストの基本概念をはじめ、検証すべき項目や実践方法について、事例を交えて解説します。メルマガの開封率やクリック率、コンバージョン率の改善に役立ててください。

メルマガのA/Bテストとは
メルマガのA/Bテストとは、一部の要素を変えた2パターンのメールをユーザーに配信し、その効果をユーザーの行動に基づいて比較検証するテストのことです。メルマガのA/Bテストで正確な検証結果を得るには、件名やCTA(行動喚起)ボタン、画像といった検証要素を一か所に絞ることが重要です。バージョンを2つ用意し配信することで、どちらがより効果的であるかを検証します。また、複数の要素で異なるバージョンを用意し、それらの組み合わせによる効果を検証する「多変量テスト(MVT)」も、よく用いられる手法の一つです。それぞれのバージョンを一部のユーザーに送信し、開封率やクリック率、コンバージョン率など、設定した指標の成果がより高いバージョンを残りのユーザーに送信します。
ECサイトのメルマガでは、キャンペーンの配信だけでなく、新商品の紹介や商品のレコメンド、休眠掘り起こしメールなど、商品の売上に直結するものも少なくありません。A/Bテストツールなどを活用しながらメルマガのA/Bテストを行うことで、メールマーケティングのKPI改善にもつながります。

メルマガのA/Bテストの検証項目10選
1. メールの件名
メールの件名は、メルマガのA/Bテストでよく検証される要素の一つです。特にメルマガの件名は、ユーザーがメールを開くかどうかを決定づけます。2つの件名でテストを行うことで、より開封を促す件名を選択することができます。件名は直感的に判断されることが多いため、効果的な訴求ポイントを特定することにもつながります。
メールの件名のA/Bテストでは、以下の点を検証しましょう。
語順
セールや割引クーポンの配布を行う場合、語順を変えることでクリック率向上を狙うことが可能です。具体的には、以下のようなA/Bテストを行うことができるでしょう。
A:「【50%OFF】本日から年末の感謝セール」
B:「年末の感謝セールは本日から!【全品50%OFF】」
A:「【本日最終日】新商品の限定割引クーポン配布中」
B:「新商品の限定割引クーポン配布中【本日最終日】」
絵文字
テキストが中心となるメールの件名では、絵文字を使用することで存在感を高め、ユーザーの注意をひくことが可能です。一方で、ターゲット層によっては絵文字の使用が開封率を下げるケースもあります。絵文字の有無で開封率に差が出るかどうかを、A/Bテストで検証しましょう。
2. CTA
CTAは、ユーザーに期待する行動を促す役割を果たすため、メルマガキャンペーンにおいて重要な要素の一つです。コンバージョン率の改善を目指す場合、CTAのA/Bテストは欠かせません。以下のどのようなCTAの形式が最も効果的であるかを検証しましょう。
- ハイパーリンク付きボタン:「今すぐ購入」「詳細を見る」「続きを読む」といった文言が書かれたボタンです。
- プレーンテキストのリンク:クリックできる形式のテキストで、一般に下線付きの青色テキストで表示されます。
- クリックできるURL:商品ページやトップページ、特集ページのURLをクリックできる形式で直接貼り付けたものです。ユーザーはどのページに遷移するかを予測できます。
CTAのA/Bテストでは、さまざまなパターンでの比較が考えられます。以下の具体例を参考に、目的に合わせて検証する内容を絞り込みましょう。
ホワイトペーパーのダウンロードを促す場合
A:「資料を読む」
B:「無料でダウンロードする」
商品の販売を促す場合
A:ファーストビューとクロージング部分にのみCTAを入れる
B:ファーストビューとクロージングに加えて、各セクションの最後にCTAを入れる
このほか、CTAボタンの色(赤と緑)やボタンの形状(角丸の有無)、ハイパーリンク付きボタンとプレーンテキストのリンクで比較するといった方法も考えられます。
3. トーン&マナー
メルマガのA/Bテストは、文章のトーン&マナーを試すのに最適です。すでに確立されたブランドボイスやブランドアイデンティティがある場合は、それらに沿ったトーン&マナーである必要があります。一方で、親近感を出すために会話調のトーンを使う手法もあります。友人に話しかけるようなトーンの方がコンバージョンにつながりやすいケースもあれば、商品やサービスの質の高さや信頼性を高めるために、フォーマルな口調の方が効果的な場合もあります。トーン&マナーのA/Bテストでは、以下のような具体例が考えられます。
A:「私たちが自信を持ってお届けする、素材にこだわったレザーバッグが遂に新登場!」
B:「このたび、当ブランドの美学とこだわりを凝縮した新作レザーバッグをご案内いたします。」
4. 画像
ユーザーに情報をわかりやすく伝えるため、画像のA/Bテストを行います。画像の使用の有無でテストする場合もあれば、2つのバージョンの画像を用意して比較する場合もあります。メルマガ受信者はメールを開くまで画像を見ないため、画像の有無や使用する画像によるコンバージョン率やクリック率の変化を検証し、より効果が高いものを全体へのメルマガに活用しましょう。
5. デザイン
メルマガのデザインでA/Bテストを行うことで、ユーザーの好みを知ることができます。視覚的にインパクトのあるデザインはブランディング効果を高めることができる反面、クリックやコンバージョンにつながりにくいといったケースがあります。デザイン性を重視したメルマガと、シンプルなプレーンテキストのメルマガを比較しましょう。デザイン性の高いメルマガの方が効果的であると思われがちですが、シンプルなレイアウトを採用して成功した事例もあります。
6. 長さ
ユーザーにとって読みやすいだけでなく、十分な情報量と説得力のある長さのメルマガを配信するための検証も重要です。ストーリーテリングの手法を活用したメルマガは、読み手を物語に引き込みやすい反面、文章が長すぎるとコンバージョンを阻害するおそれもあります。
本文の長さのA/Bテストは、単に長文と短文の優劣を決めるためのものではなく、テーマに応じた最適な長さを探るためのものです。長文を好むユーザーが多い場合には、ニッチなテーマを深く掘り下げたコンテンツを配信することもできるでしょう。
7. コンテンツ
コンテンツのA/Bテストは、メルマガに盛り込む要素を比較検討するのに役立ちます。例えば権威性をアピールする際、使用するコンテンツは口コミやレビューか、それとも専門家の声か、といった要素で比較検討が可能です。また、新商品を紹介するメルマガでは、成功訴求と失敗訴求のどちらがより効果的かを探ることもできるでしょう。
例えば、プロジェクト管理ツールをローンチする場合、以下の二つのどちらが効果的であるかを判断することができるでしょう。
- 「業務効率化により生産性がアップする」という成功訴求
- 「連絡漏れや納期遅延のリスクを抱えることで競合他社に遅れをとる可能性がある」という失敗訴求
8. パーソナライズ
差出人名や件名、本文のパーソナライズもA/Bテストで検証すべき要素の一つです。例えば、件名に受信者名を入れて特別感を演出することで、開封率が上がるかどうかを検証することが可能です。本文にも受信者名を入れることで、ターゲット層は親近感を持つのか、かえって広告感が出て成果につながらない傾向があるのかを知ることもできるでしょう。セグメント配信を活用してパーソナライズを行う際には、これらの要素を検証することで、クリックやコンバージョンにつながる組み合わせを見つけることができます。
9. 送信日時
ターゲットオーディエンスがメルマガを開き、行動を起こしやすい時間帯を知ることで、より効果的なメールマーケティングを行うことができます。一般に朝の通勤時間や昼の休憩時間、夕方の帰宅時間を狙って配信するケースが多いものの、ターゲット層によっては夜にメールをゆっくり閲覧するという場合も考えられます。ターゲット層が最も開封しやすいタイミングを絞り込めば、エンゲージメントを最大化できるでしょう。
10. 差出人名
メルマガの差出人名は、開封率に影響を与える重要な要素です。差出人名は、ひと目で誰かわかるようにすることで、開封率を上げることができます。誰からのメールか判断がつかない場合は、メールが開封されないだけでなく、迷惑メールであると勘違いされ、破棄されるリスクもあります。そのため、差出人名はユーザーになじみのある名称にする必要があります。会社名よりもサービス名やブランド名を使用することで開封率が高まるケースもあります。さらにBtoBでは、営業担当者名と会社名を併記することで、一斉送信ではなく「自分宛てに送られたメール」という印象を与えることができます。

A/Bテストの実践方法
1. A/Bテストの目的を明確化する
事前にA/Bテストの目的を明確化することが重要です。テストを通して改善したい要素は何か、どのような結果を期待するのかを明らかにし、それを実現するためのテストを行いましょう。認知度向上や売上向上といったA/Bテストの目的を明確化することで、講じるべき施策が変わります。
2. テスト要素を絞り込む
次に、テストの目的に合わせて検証すべき要素を絞り込みます。思うような結果が出ない原因を探り、件名や使用する画像、トーン&マナーなど、改善につながるA/Bテストの要素を絞り込みましょう。
例えば、新商品発売のメルマガの開封率が上がらず、メルマガの効果が得られない状況があると仮定します。開封率が低い原因が件名にあると考える場合、語順や訴求ポイントに焦点を当てたA/Bテストを実施できます。
3. 判定指標を選ぶ
目的を達成するために必要となる判定指標は何かを明らかにします。認知度向上のために開封率の改善を目指すのか、それとも売上向上のためにコンバージョン率やクリック率に焦点をあてるのかを決定します。
4. ランダムに抽出したグループに配信する
用意した2パターンのメルマガを、ランダムに抽出したグループに配信し、テストを実行します。メルマガ配信ツールのA/Bテスト機能を活用すれば、自動的に送信先を抽出し配信することが可能です。この機能が付いていない場合でも、手動で送信先を抽出し配信することができるでしょう。
効果的なA/Bテストを行うには、十分なサンプル数の確保にも留意が必要です。メルマガ登録者全体の20~50%にテストを行うことで、残りの登録者に対して、より効果的なバージョンのメールを配信できます。
5. 結果を分析する
テスト送信後、2つのバージョンにおける結果の差異を分析します。より高い効果が得られたバージョンを残りのメルマガ登録者に配信することで、メルマガ全体の効果を高められます。さらに、差異が出た原因を分析し、改善を重ねることで、ユーザーに寄り添ったメールマーケティングが実行できるようになるでしょう。
まとめ
メルマガのA/Bテストは、メールマーケティングでよく活用される手法の一つです。2つの異なるバージョンを一部のユーザーにテスト的に配信して成果を検証することで、より効果の高いメルマガを購読者に配信することができます。
メルマガのA/Bテストでは、画像やデザインといったメルマガの見た目に関する要素だけでなく、件名やコンテンツそのもの、差出人や送信日時も検証対象となります。さらに、トーン&マナーや本文の長さ、パーソナライズの有無によっても成果に明確な差が表れます。
テストの目的を明確化したうえでテスト要素と判定指標を絞り込み、ランダムに抽出したグループに配信をして、結果を観察および分析しましょう。
近年では、AIを活用したメールマーケティングツールもA/Bテストに活用されています。また、メルマガのA/Bテストだけでなく、ECサイトのA/Bテストを併用したり、ECサイトのABテスト事例を参考にしながら、集客と売上向上に役立ててください。
メルマガのA/Bテストに関するよくある質問
メルマガのA/Bテストとは?
メルマガのA/Bテストとは、異なるバージョンのメールを一部のユーザーに配信し、その効果を開封率やクリック率などの行動データを基に比較検証するテストのことです。
メルマガのA/Bテストの実践方法は?
- A/Bテストの目的を明確化する
- テスト要素を絞り込む
- 判定指標を選ぶ
- ランダムに抽出したグループに配信する
- 結果を分析する
メルマガのA/Bテストで検証すべき項目は?
- メールの件名
- CTA
- トーン&マナー
- 画像
- デザイン
- 長さ
- コンテンツ
- パーソナライズ
- 送信日時
- 差出人名




