食品をネット販売するには、特定の許認可や資格の取得に加えて、食品表示法などの法律を遵守することが不可欠です。この記事では、食品のネット販売に必要な許可や資格、注意すべき法律、販売開始までの流れ、ブランドづくりやマーケティングの考え方について解説します。
食品販売ビジネスは、在庫や賞味期限、配送時の温度管理、法規制など、一般的なネットショップとは異なる課題があります。一方で、食品EC市場は今後も成長が見込まれており、こだわりの商品を全国の顧客に届けられる魅力的な分野でもあります。必要な許可や資格を理解し、やるべきことを一つひとつクリアしていけば、事業を始められます。
食品のネット販売に挑戦したい人は、この記事を参考に、必要な準備や手続き、販売を始める際のポイントを確認してください。
食品ネット販売に必要な許可
ネットで食品を販売するには、販売する食品や営業形態によって、食品衛生法に基づく営業許可や営業届出が必要になります。食品衛生法に基づく営業許可は、食品の安全性を保ち、消費者に衛生的な食品を提供することを目的として、保健所を通じて申請します。
購入した商品を小分けにして再販売する場合には、食品の種類や作業内容に応じて「食品の小分け業」などの営業許可が求められることもあります。また、自宅で調理・製造した食品を販売したい場合も、家庭用キッチンをそのまま使えるとは限りません。異物混入や交差汚染を防ぐため、専用設備や営業用施設の基準を満たす必要がある場合があります。
食品衛生法に基づく営業許可の対象業種
- 調理業:飲食店営業・調理機能付き自動販売機
- 販売業:食肉販売・魚介類販売・魚介類競り売り
- 処理業:集乳・乳処理・特別牛乳搾取・食肉処理・放射線照射
- 製造業:菓子・アイスクリーム類・乳製品・清涼飲料水・食肉製品・水産製品・氷雪・液卵・食用油脂・みそ・しょうゆ・酒類・豆腐・納豆・麺類・そうざい・冷凍食品・漬物・密封包装食品・食品の小分け・添加物
食品衛生法に基づく営業許可の対象業種は、上記のとおりです。販売業に含まれる「食肉販売」と「魚介類販売」は、容器包装された状態で販売する場合、営業許可は必要なく、届出のみで営業が可能です。また、令和3年6月に導入された「営業届出制度」により、これまで許可の対象外であった業種も届出が必要となりました。詳細については、厚生労働省のウェブサイトで確認できます。
食品衛生法に基づく営業許可の取得手順
- 保健所での事前相談
- 営業許可の申請
- 施設検査
- 営業許可書の交付
- 営業開始
食品衛生法に基づく営業許可を取得するための手順は、主に上記の5つです。事前相談では、事業施設の図面資料の持参が求められます。
施設検査は特に重要で、指定された「共通基準」および「特定基準」を満たしていない場合、許可が得られません。共通基準はすべての業種に共通するもので、施設の構造や食品取扱設備、汚物処理などが含まれます。一方、特定基準は業種ごとに決められたものです。たとえば、魚介類競り売り営業の場合は作業工程に必要な区画が設けられていることや、商品を保存する冷蔵庫などの衛生管理、海水の殺菌設備といった基準が定められています。
必要な営業許可を取得せずに営業した場合、営業停止などの行政処分や、食品衛生法に基づく刑事罰の対象となる可能性があります。また、刑罰を受けた場合、その後の営業許可の取得にも影響することがあるため、注意が必要です。
営業許可が下りたら、保健所の案内に従って営業許可書を受け取ります。交付方法や必要な持ち物は自治体によって異なるため、事前に確認しておきましょう。その後、正式に営業開始できます。
食品衛生法に基づく営業許可の取得に必要な書類
- 営業許可申請書
- 営業設備の大要・配置図
- 許可申請手数料
- 登記事項証明書(法人の場合)
- 水質検査成績書
- 食品衛生責任者の資格を証明するもの(食品衛生責任者手帳)
営業許可申請書はインターネット上からダウンロードすることができ、法人の場合は申請書に法人番号を記載しておくことで登記事項証明書は不要となる場合があります。許可申請手数料は、業種や自治体によって異なります。記載内容に誤りがないかを確認したうえで、申請先の保健所が指定する期限までに提出しましょう。
また、保健所の窓口へ書類を提出する以外にも、厚生労働省のウェブサイト上に公開されている「食品衛生申請等システム」からオンラインで営業許可を申請することもできます。
食品のネット販売に必要な資格
食品衛生責任者
食品のネット販売を行う際、営業届出の対象外となる「常温で長期保存が可能な包装食品の販売」以外の業種では基本的に、施設ごとに食品衛生責任者を1名以上設置する必要があります。食品衛生責任者の主な職務内容は、食品の取り扱いに関わる衛生管理、従業員に対する衛生教育の実施、必要な改善措置の提案、保健所による講習会への参加などです。
なお、後述する食品衛生管理者の資格があれば、食品衛生責任者としても従事できます。
食品衛生責任者の取得手順
食品衛生責任者の資格を取得するには、各都道府県の食品衛生協会などが実施する養成講習会に参加し、所定の課程を修了する必要があります。講習の実施方法には対面とeラーニングの形式があり、どちらを選んでも6時間ほどで完了します。講習の修了時に確認試験が行われる場合もあります。
参加にあたって特別な学歴や職歴の要件はなく、受講可能な年齢などの条件は実施団体によって異なります。受講料(10,000~12,000円)や講習時間、申し込み方法は各都道府県によって異なるため、事前に関連ウェブサイトで確認しましょう。なお、すでに栄養士や調理師などの関連資格を持っている場合は、講習を受けることなく食品衛生責任者としての資格が認められます。
食品衛生管理者
食品衛生管理者は、食品の製造や加工を行う工場などで、衛生管理を監督する人材です。特定の食品や添加物の製造・加工を行う施設では、施設ごとに1名以上の食品衛生管理者を配置することが義務付けられています。
食品衛生管理者の配置が求められる食品・添加物は、以下のとおりです。
- 全粉乳
- 加糖粉乳
- 調製粉乳
- 食肉製品
- 魚肉ハム
- 魚肉ソーセージ
- 放射線照射食品
- 食用油脂
- マーガリン
- ショートニング
- 添加物
食品衛生管理者を任命した事業者は、選任した日から15日以内に、施設の所在地を管轄する都道府県知事などに届け出る必要があります。
食品衛生管理者の取得手順
食品衛生管理者の資格を取得する方法の一つとして、厚生労働大臣の登録を受けた機関が実施する「食品衛生管理者登録講習会」の修了があります。講習会を受講するには、以下の受講資格が必要です。
- 学校教育法に基づく高等学校または中等教育学校を卒業した者、もしくは同等以上の学力があると認められる者
- 食肉製品や添加物の製造・加工における衛生管理業務に2年以上従事している者
ただし、最終的に食品衛生管理者の資格を取得するには、食品衛生管理者登録講習会の修了に加えて、対象となる食品や添加物の製造・加工における衛生管理業務に3年以上従事した経験が必要です。2年以上3年未満で講習会を受講した場合、3年の経験を満了するまでは資格取得できないので注意しましょう。
講習会の具体的な日程や受講料は開催団体ごとに異なるため、実施機関の公式サイトや関連団体の公告を確認してください。
なお、以下のいずれかの要件に該当する場合も、食品衛生管理者の資格が認められます。実際に食品衛生管理者として選任される際には、所定の書類の提出が必要です。
- 医師、歯科医師、薬剤師、獣医師の免許保持者
- 医学、歯学、薬学、獣医学、畜産学、水産学、農芸化学の課程を修めて大学を卒業した者
- 特定の食品衛生管理者養成施設で所定の課程を修了した者
食品衛生責任者と食品衛生管理者の違い
食品衛生責任者と食品衛生管理者は、設置が義務づけられる施設の種類が異なります。
食品衛生管理者は、乳製品や食肉製品、添加物といった特定の食品や添加物を製造・加工する施設で、原則として施設ごとに1名以上を配置する必要があります。
食品衛生責任者は、一般的な食品の販売店や製造施設、飲食店などに配置されます。食品衛生管理者は食品衛生責任者よりも資格要件が厳しく、特定の食品や添加物の製造・加工における衛生管理を監督する役割を担います。
食品ネット販売を始めるための13ステップ
1. ビジネスモデルを決定する
食品をネット販売するには、主に2つのビジネスモデルが考えられます。一つは自ら食品を製造し、消費者に直接販売するDtoCのビジネスモデルです。ハンドメイドビジネスの場合は自宅での生産のほか、営業用施設の利用や製造業者との協力が必要になる場合もあります。自宅で調理して販売する場合は、異物混入を防ぐために家庭用キッチンとは別に、営業施設の基準を満たす設備を用意する必要があります。
もう一つは、食品を仕入れて販売する方法です。取り扱う食品によっては営業許可が不要なため、初心者でも比較的始めやすい事業といえます。ドロップシッピングを活用すれば、在庫を持たずに販売することも可能です。
どちらのモデルを選択するかは、参入する市場や資金、運営の複雑さを考慮して決定するとよいでしょう。自社で製造する場合はレシピや品質をコントロールしやすい一方、設備投資や衛生管理の負担が大きくなります。仕入れ販売の場合は始めやすい反面、商品の差別化や供給元との関係づくりが重要です。
2. ニッチと商品コンセプトを決める
優れたオンラインビジネスのアイデアは、好きなことや得意なレシピから生まれることも多くあります。たとえば、家族や友人に好評だったジャム、地域の食材を使った焼き菓子、健康課題に配慮したスナックなど、身近な経験が商品の出発点になることがあります。
まだ商品アイデアが明確でない場合は、食品トレンドや市場のニーズを調べてみましょう。発酵食品、プラントベース食品、グルテンフリー、低糖質、オーガニック、アレルゲン対応、地域食材、ギフト向け商品などは、差別化しやすい切り口です。ただし、人気のある分野ほど競合も多いため、自社の商品がどのように独自性を出せるかを考えることが大切です。
初心者の場合は、比較的少ない設備で始めやすく、配送時の破損や温度管理のリスクが低い商品から検討するのもよいでしょう。たとえば、キャンディ、包装済みスナック、乾燥ハーブ、焼き菓子の材料キット、ナッツ類、コーヒーやお茶、仕入れた食品を組み合わせたセット商品などです。
3. 資格・許可・法律を調べて必要な対応を取る
食品をネット販売する際は、法律や規制の知識が不可欠です。まずは販売する食品について必要な資格を確認し、食品衛生責任者や食品衛生管理者などの資格を取得するか、資格要件を満たす人を確保しましょう。営業許可が必要な場合は、施設基準などの要件も満たす必要があります。
必要な資格や設備を確認したら、管轄の保健所で営業許可の申請を行います。申請時に複数の書類を提出する必要があるため、必要書類や申請方法を管轄の地方自治体や厚生労働省の公式サイトで確認しましょう。
また、許可が下りた後も法律に従って営業を続ける必要があります。食品衛生法や食品表示法、景品表示法、計量法など、販売する食品の種類に応じた法律について調べて、遵守しましょう。
必要な許可や資格の取得方法や規定について不明点があれば、地方自治体や保健所に確認しましょう。法的な要件が複雑である場合は、弁護士に相談するのも一つの手です。特に食肉、魚介類、乳製品、酒類、健康効果を訴求する食品、海外販売を想定する商品は、追加の規制が関係する場合があります。
4. 供給者の許可や認証を調査する
ネットで販売する商品の製造に使用したい食材や売りたい食品を見つけたら、メーカーやサプライヤーといった仕入れ先が必要な営業許可や認証を取得しているか確認します。たとえば、オーガニック商品を取り扱う場合は、仕入れ先が必要な有機(オーガニック)認証を取得しているか確認しましょう。
仕入れ先を選ぶ際は、価格だけでなく、安定供給できるか、原材料の産地や製造工程を追跡できるか、アレルゲン情報を明確に提示できるかも確認します。商品ラベルや販売ページでうたう内容と実際の中身が一致していることは、信頼を守るうえで欠かせません。
5. 製造方法と生産体制を決める
食品ビジネスで起業する方法はさまざまです。自社で食品を作る場合は、どこで、どの規模で、誰が製造するのかを決めます。主な選択肢は、営業許可を取得した専用施設で製造する方法、シェアキッチンやレンタルキッチンを利用する方法、自社工場を設ける方法、既存の製造業者に委託する方法です。
シェアキッチンやレンタルキッチンは、設備を一からそろえるより費用を抑えやすく、初期段階の小ロット製造に向いています。施設によっては営業許可や設備基準への対応状況が異なるため、利用前に保健所や施設運営者へ確認しましょう。
製造委託は、レシピやブランドづくりに集中しやすい方法です。食品安全や製造設備に詳しい事業者と組める一方、最低ロットや原価、品質管理、レシピの再現性などを事前に確認・調整する必要があります。
6. ブランド構築に注力する
食品をネット販売する場合は、購入前に試食してもらうことができないため 、ブランドのイメージ作りが重要になります。ブランドの魅力を伝えるには、ECサイトの商品説明欄やキャッチコピーなどを工夫するとよいでしょう。食品がおいしそうに見えるパッケージデザインや写真など、視覚的な要素にこだわることで、商品の魅力をより効果的に伝えられます。必要に応じて、デザイナーへの依頼も検討しましょう。
ブランドづくりでは、「誰に、どんな価値を届けるのか」を明確にすることが大切です。味や食感、香り、使い方、開発ストーリー、生産者の想いなどを言葉とビジュアルで伝えることで、顧客が商品を口にする前から魅力を想像しやすくなります。
商品ページには、原材料、アレルギー情報、栄養成分、保存方法、賞味期限、調理方法やおすすめの食べ方をわかりやすく掲載しましょう。レビューやレシピ、利用シーンの写真を載せると、購入後のイメージも伝わりやすくなります。
7. 事業にかかる費用を試算する
食品販売では、原材料費だけでなく、営業許可や資格取得、設備、パッケージ、ラベル、撮影、サイト制作、決済手数料、配送資材、広告費など、多くの費用が発生します。固定費と変動費を分けて整理し、どの程度販売すれば利益が出るのかを確認しておきましょう。
小規模に始める場合でも、品質を守るための衛生管理や表示対応には費用がかかります。反対に、最初から大きな設備投資をすると、売上が安定する前に資金繰りが苦しくなる可能性もあります。最初は小ロットで検証し、売れ行きに応じて生産体制を拡大する方法がおすすめです。
8. 食品の販売価格を決定する
利益を確保するためには、食品の販売価格を適切に設定することが求められます。販売価格を設定するにあたって、最初に商品の原価率を計算しましょう。原価には、原材料費や人件費、製造費が含まれます。原価率は、売上高に対する原価の割合を指す指標で、「原価÷売上高×100」で計算できます。たとえば、売上高が500万円で原価が150万円なら、原価率は30%です。
ほかの条件が同じであれば、原価率が高いほど、得られる利益は少なくなります。原価率を踏まえて、事業の利益を確保しながら、顧客が購入しやすい価格に設定するのがポイントです。しかし、一度で適切な価格を決定するのは困難なため、販売しながら価格を調整するとよいでしょう。
価格設定では、固定費、変動費、利益率に加えて、顧客がその商品にどの程度の価値を感じるかも重要です。高品質な原材料、手作業、小ロット生産、地域性などが強みであれば、安さだけで競う必要はありません。競合商品の価格も参考にしながら、自社の価値が伝わる価格帯を探りましょう。
9. 賞味期限を考慮して仕入れ量を決定する
食品を仕入れる際は、賞味期限を考慮する必要があります。特に賞味期限が短い商品を扱う場合は、仕入れすぎると売れ残りが発生し、最終的に廃棄せざるを得なくなります。新鮮な状態で商品を提供できるように、仕入れ量を慎重に管理しましょう。
適切な仕入れ量を考えるためには、過去の販売データを分析し、需要を予測する手法が効果的です。事業を始めたばかりの時期は、仕入れ量を抑えるのもよいでしょう。食品を自分で製造する場合は、仕入れた材料が賞味期限や消費期限までに使い切れる量を見積もり、計画的に使用する必要があります。
ロット番号やバーコードを活用して、いつ仕入れた商品か、どの顧客に販売したかを追跡できるようにしておくと、万が一の回収対応にも役立ちます。チームで運営する場合は、在庫管理や先入れ先出しのルールを共有しておきましょう。
10. 商品開発と成長計画を立てる
最初から商品数を増やしすぎると、製造や在庫管理が複雑になります。まずは主力商品を改良し、顧客の反応や販売データを見ながら、関連商品や新フレーバーを追加していくのが現実的です。
顧客からの要望は貴重ですが、すべてを商品化する必要はありません。実際に購入してもらえる見込みがあるか、既存の設備で製造できるか、利益を確保できるか、ブランドの方向性に合っているかを確認してから進めましょう。食品そのものだけでなく、ギフトカード、レシピブック、調理器具、ブランドロゴ入りの雑貨など、食品に関連する商品を展開する方法もあります。
11. 配送の規定や制限を調べて適切な方法を決定する
食品のネット販売では、食品の配送も大切な要素です。特に海外へ発送する場合は、販売する食品が配送先の国・地域の法律や規制に適合しているかを確認する必要があります。
商品が破損しないように、適切な梱包材を選ぶことも欠かせません。壊れやすい商品や特殊な保護が必要な商品の場合は、梱包コストが大きくなる可能性があります。そのようなコストも考慮に入れて、配送料を設定しましょう。
梱包や配送の手間を減らしたい場合は、フルフィルメントサービスを利用する方法もあります。フルフィルメントサービスは、商品の梱包や配送といった物流業務を第三者が代行するサービスです。商品の特性上、配送が難しい場合はローカルデリバリーや店舗での受け取りなどの代替手段を用意するとよいでしょう。
冷蔵・冷凍が必要な食品や傷みやすい食品を扱う場合は、断熱資材、保冷剤、冷凍便・冷蔵便、配送時間の短縮など、適切な温度を維持するための対策が必要です。気温が高い時期や年末年始など配送が混み合う時期は、通常よりリスクが高まります。テスト配送を行い、到着時の温度や商品の状態を確認してから本格販売するのがおすすめです。
12. 販路を決定する
自社ECサイトの運営のほか、フリマアプリやマーケットプレイスへの出品が販路として挙げられます。自社ECサイトは集客に取り組まなければ顧客に商品を見つけてもらいにくいものの、ブランドの世界観を表現しやすく、顧客情報を管理しやすいという大きなメリットがあります。必要に応じて、ほかの販売チャネルとの併用も視野に入れるとよいでしょう。
たとえば、メルカリやラクマといったアプリを活用すれば、販売手数料は発生しますが初期投資を抑えて事業を始められます。Amazon(アマゾン)や食べチョクなどのマーケットプレイスでは、既存の集客基盤を活用して販売を始められますが、競争が激しく、価格競争に巻き込まれる可能性があります。いずれの場合も、食品の出品には制限があるため、各サービスの出品ルールを事前に確認しましょう。
それぞれの販路の特徴を理解して、自社のビジネスモデルや商品特性に合った方法を選びましょう。飲食店や実店舗を運営している場合は、オンライン注文、店頭受け取り、地域配送を組み合わせることで、既存顧客にも利用してもらいやすくなります。
13. マーケティングで商品の魅力を届ける
食品のネット販売は購入前に試食できないため、商品の魅力を伝えるマーケティングが特に重要です。商品ページ、写真、レシピ、SNS、メールマガジン、ブログなどを通じて、味や食感、使い方、開発背景を伝えましょう。
検索からの流入を増やしたい場合は、SEO(検索エンジン最適化)を意識したコンテンツづくりが役立ちます。たとえば、商品の使い方、アレンジレシピ、食材の選び方、保存方法、地域食材のストーリーなどを発信すると、ブランドへの信頼も高まりやすくなります。
SNSは、食品と相性のよい集客チャネルです。調理シーン、盛り付け、開封動画、顧客の投稿、季節の食べ方などを発信すれば、視覚的に商品の魅力を伝えられます。口コミやUGC(ユーザー生成コンテンツ)も、購入を後押しする大切な要素です。
食品のネット販売で注意すべきこと
衛生管理
ネットで食品を販売する際、衛生管理には特に注意が必要です。衛生管理を怠ると、商品を食べた消費者の健康に悪影響を及ぼす危険性があります。
たとえば、保管・配送時の温度管理が不適切だと食中毒のリスクが高まるため、食品を長時間保管または配送する場合は適切な温度管理が求められます。調理工程では、器具の洗浄・消毒や手洗いの徹底、用途に応じた器具の使い分けが重要です。衛生管理にあたって不明点があれば、保健所に相談しましょう。
また、原材料の入荷記録、製造日、ロット、出荷先、温度管理記録などを残しておくことも大切です。問題が起きた際に原因をたどりやすく、迅速な対応につながります。必要に応じて、商品の検査やアレルゲン確認を専門機関に依頼することも検討しましょう。
法律や条例の順守
ネットショップで食品を販売する際には、法律や条例の遵守が不可欠です。法令に違反した場合、営業停止などの処分を受ける可能性があります。ネットで食品を販売するにあたって、以下の法律や条例について理解を深めておきましょう。
食品表示法
インターネットで食品を販売する場合は、食品表示法に従って、必要な情報を容器包装に表示する義務があります。
表示項目の例は、以下のとおりです。
- 名称
- 原材料名
- 添加物
- 内容量
- 賞味期限または消費期限
- 保存方法
- 原産国名
- 輸入者
- 栄養成分表示
- アレルギー物質
食品表示法に違反すると、3年以下の懲役または300万円以下の罰金などの重い罰則が課される場合があります。海外へ販売する場合は、発送先の国や地域の表示ルールも確認が必要です。
景品表示法
景品表示法は消費者の利益を保護するために、商品やサービスについて消費者に誤解を与える表示を規制する法律です。景品表示法の目的は、商品の品質や価格、取引条件などが実際より優れているかのように誤認させる表示(優良誤認表示や有利誤認表示)を禁止することにあります。そのほかの誤解を招く可能性のある表示も規制対象です。
違反すると措置命令が出されることがあり、命令に違反した場合は、2年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金が科される可能性があります。
計量法
計量法は消費者保護を目的とした法律で、食品取引において正確な計量を確保するためのものです。商品の表示量と実際の量の間に許容される誤差を定めており、実際の量が表示量より少なく、その差が許容範囲を超える場合は違反となります。精米や粉類など特定の商品については、内容量を正確に表示することが求められるため、該当する食品を取り扱う場合は注意が必要です。
計量法に違反すると、違反内容によっては罰金などの罰則が科される可能性があります。
健康増進法
健康増進法は食品に関する虚偽や誇大な広告を禁止し、消費者の誤解を防ぐための法律です。たとえば「食べると病気が治る」といった誤解を招く表現は、規制の対象となります。
違反した場合は、消費者庁長官による勧告や命令の対象となることがあり、命令に従わなかった場合には6か月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金が科される可能性があります。
米トレーサビリティ法
米トレーサビリティ法は、米や米加工品の流通経路を追跡できるようにするための法律です。対象となる米穀等の取引記録を作成・保存するとともに、産地情報を取引先や消費者に伝えることが義務付けられています。対象となるのは、米や対象となる米加工品を取り扱う事業者です。
法律に違反した場合は、50万円以下の罰金が科される可能性があります。
条例
国の法律に加えて、地域ごとに設けられている食品表示に関する条例も遵守する必要があります。たとえば東京都では、特定の食品に対して独自の表示基準が定められています。具体的には、調理冷凍食品の原材料配合割合と原料原産地名、かまぼこ類のでん粉含有率と原材料配合割合、はちみつ類の品名と原材料の割合や重量、カット野菜やフルーツの加工年月日などです。
条例を遵守しなければ是正指導や勧告の対象となり、必要な措置を講じない場合は、事業者の氏名や名称などが公表されることがあります。
まとめ
食品のネット販売を始める際は、営業許可や食品衛生責任者などの必要な許可・資格の取得や人員の確保が重要です。加えて、食品衛生法や食品表示法、景品表示法などの遵守も求められます。違反すると営業停止や罰金の対象となる可能性があるため、販売前に自治体や保健所で必要な許可やルールを確認し、必要に応じて弁護士などに助言を求めましょう。
そのうえで、商品コンセプト、仕入れ先、製造体制、価格、在庫、配送、販路、マーケティングを整えていくことが、食品のネット販売を長く続けるための土台になります。特に食品は購入前の試食ができないため、写真や文章、パッケージ、レシピ、レビューを通じて魅力を丁寧に届けることが大切です。
ネットショップで食品を販売する場合は、適切なブランド構築とマーケティング戦略が利益を伸ばすカギとなります。Shopifyでは、販売する食品の魅力を伝えられるサイトを簡単にデザインしたり、カゴ落ち対策を自動で実施したりすることが可能です。無料体験も実施していますので、この機会にShopifyの活用を検討してみましょう。
食品のネット販売に関するよくある質問
冷凍食品をネット販売するには許可が必要?
製造せずに既製の冷凍食品を仕入れて販売するだけの場合、営業許可は原則として不要ですが、販売形態によっては営業届出が必要です。
一方、冷凍食品を製造してネット販売する場合は、原則として冷凍食品製造業の営業許可が必要です。冷凍食品のほかにも食品を製造する場合は、製造する食品や工程によって、複合型冷凍食品製造業などの営業許可が必要になることがあります。
食品をネットで販売する際の消費税は?
ネットで食品を売る際の消費税率は、原則として軽減税率の8%が適用されます。ただし、酒類など軽減税率の対象外となる商品には、標準税率の10%が適用されます。
野菜をネット販売する方法は?
- ネットショップを立ち上げる
- オンラインモールを利用する
- 産直販売のプラットフォームを利用する
- フリマアプリで販売する
自宅で作った食品をネット販売できる?
自宅で作った食品をネット販売できるかどうかは、食品の種類、製造場所、設備、自治体の基準によって異なります。家庭用キッチンとは別に、営業許可を受けられる専用設備が必要になるケースが一般的です。販売前に必ず管轄の保健所へ相談しましょう。
食品のネット販売は儲かる?
食品のネット販売は利益を出せる可能性があります。ただし、利益率は原材料費、製造費、配送費、広告費、廃棄率、販売価格、ブランド力などに左右されます。特に賞味期限が短い商品は在庫管理が利益に大きく影響するため、少量から始めて需要を見極めるのがおすすめです。
食品の販売価格はどう決めればいい?
まず原材料費、人件費、製造費、包装費、配送関連費、販売手数料などを整理し、原価を把握します。そのうえで、固定費と利益を上乗せし、競合価格や顧客が感じる価値を見ながら調整しましょう。販売後も、売れ行きや利益率を確認しながら見直すことが大切です。
ネットで食品を売るには、まず何から始めるべき?
まず販売したい食品の種類とビジネスモデルを決め、必要な営業許可、届出、資格、表示ルールを確認しましょう。その後、仕入れ先や製造体制、価格、配送方法、販路を整えます。法規制に関わる部分は、早い段階で保健所や自治体に確認しておくと安心です。












