ECサイトで複数商品の注文を受けた際に、1個の荷物にまとめて発送するのが難しい場合があります。たとえば、在庫が商品ごとに異なる拠点で保管されていたり、サイズや重量の大きな商品が含まれていたりするケースです。そのような場合には、荷物を複数回に分割して配送する方が、効率や顧客満足度を向上させられる可能性があります。
この記事では、分割配送の基礎知識、そのメリットやデメリット、Shopify(ショッピファイ)での導入方法などを解説します。EC物流における柔軟で効率的な配送と顧客満足度の両立のため、ぜひ参考にしてください。

分割配送とは
分割配送とは、顧客が1回の注文で複数の商品を購入した場合に、1個の荷物にまとめず複数に分割して出荷することです。ECサイトで分割配送を行う場合、ある程度は自動的に設定されるような仕組みも大切です。注文ごとにスタッフの手で対応するとなると、商品のサイズや重量を測ったり、送料を計算しなおしたり、顧客に許可を取ったりといった手間が増えるためです。
状況によって分割配送を行う必要がある場合、たとえば下記のような条件やルールを設けて、チェックアウト時に配送の切り分けを行います。
- 商品の入荷時期:在庫がありすぐに発送できる商品と、予約商品や入荷待ち商品で分ける
- 出荷元のロケーション:在庫が保管されている倉庫や、梱包から発送処理まで行うフルフィルメントセンターの所在地、長距離配送になるかどうかによって分ける
- 配送区分:メール便で送れる小型荷物、大型荷物、冷凍商品など、あらかじめ設定した商品の属性によって分ける

分割配送のメリット
顧客満足度の向上が期待できる
分割配送を活用することで、商品到着まで顧客を待たせる期間が短くなり、満足度の向上が期待できます。たとえば1回の注文に入荷待ち商品のバックオーダーや予約商品、カスタマイズ商品など、納期の異なる商品が含まれている場合、すべての商品がそろうのは数か月も先になる可能性があります。顧客はいつ手元に届くのかわからず不安になったり、その間に購入意欲が薄れてキャンセルしてしまうかもしれません。
すぐに発送可能な商品から順次、分割配送を行うことで、こうした事態を避けることができます。またその場合には、各発送ごとに到着予定日をこまめに通知することも効果的です。
顧客の要望に柔軟な対応ができる
複数の商品を別の宛先へ届ける場合や、到着タイミングをずらしたい場合にも分割配送で対応できます。たとえば、複数のプレゼントを購入し、それぞれ相手の住所に直接送付してほしいといった顧客の要望に応えることが可能になります。このほか、冷凍商品と常温商品を販売している場合など、購入確定時に自動で分割配送へ設定されるようになっていれば、顧客が別々に購入したりEC事業者側が送料を再計算したりする手間が省けます。
配送の効率が向上する
サプライチェーンマネジメント(SCM)の関係で、商品の在庫が複数の倉庫、あるいはフルフィルメントセンターや配送センターに分散して保管されている場合があります。1回の注文で同時に購入された商品でも、これらの拠点から1か所に集めて梱包しなおし、改めて顧客へ発送するのは非効率になります。
そこで、分割配送を活用してそれぞれの保管場所から発送することで、配送の効率を向上できます。また、物理的に近い拠点から個別に出荷することで、迅速に顧客の手元に届くことも期待できます。
大口配送ではコストを削減できる可能性がある
大型商品や大量購入の場合、分割配送によって送料を削減できる可能性があります。梱包した荷物が規格外の特大サイズになってしまうと、運賃が大幅に上がってしまいます。また、重量のある商品が含まれていれば、他の商品を押しつぶしてしまわないように頑丈な緩衝材を詰める必要も出てきます。こうしたケースでは、かさばる商品と小型の商品を分けた方がトータルの配送コストは低く抑えられるかもしれません。
また自社でトラックを手配する場合には、3か所の配送にそれぞれ積載率50%のトラックで1台ずつ運ぶよりも、1か所分の荷物を分割して積載率75%の2台で配送するといった方法もあります。ただし、実際に配送コストを削減できるかどうかは、注文ごとに計算して比較する必要があります。

分割配送のデメリット
コストが増加する場合が多い
分割配送を行う場合、荷物の一つひとつに梱包資材費、送料、対応するスタッフの人件費などのコストが必要となる点に注意が必要です。特に大量の注文を受ける企業では、このような追加費用は積み重なって大きな金額に膨らむ可能性があります。
環境負荷が増加する
荷物の個数が増えるとその分梱包材も増えることになり、廃棄物が増加してしまいます。サスティナブルパッケージを使用した場合でも、顧客がリサイクルなどの適切な処理をしてくれるとは限りません。また、分割配送では配達回数も増加することが多いため、燃料消費も増加し、二酸化炭素排出量の増加や大気汚染などの環境負荷につながります。
返品手続きが複雑になったり、手間が増える可能性がある
分割配送での返品は、商品によって返送先が異なるなど、手続きが複雑になる可能性があります。また、異なるタイミングで届けられた商品を返品する場合は、それぞれ別に返品手続きを行わなければならず、顧客にも返品処理を担当するスタッフにも負担がかかり、配送のコストもさらに増加します。

Shopifyで分割配送を実装する方法
Shopifyでは、以下の手順で分割配送を導入できます。
- Shopifyの管理画面から、「設定」>「配送と配達」の順にクリックする
- 「発送」のオプションで、配送可能な在庫設定がある場合は「分割発送」、ない場合は「管理」をクリックする
- 「チェックアウト時に分割発送を表示する」にチェックを入れる
- 「保存」をクリックする
この設定により、チェックアウトページでは注文内容に応じて注文が自動で分割されます。なお分割配送が有効になっている場合、顧客は荷物ごとに「最安値」や「最速」といった配送方法を選択することはできますが、どのように荷物が分割されるかを設定することはできません。適切に商品が分割されるように、各商品の出荷元や一律配送料を適用するかどうかといった配送プロファイルをあらかじめ設定しておく必要があります。

分割配送を減らすためのポイント
需要を予測し、在庫を常に十分に確保する
需要を予測して在庫を常に十分に確保しておくことで、分割配送につながるバックオーダーを防止できるようになります。トレンドや販売実績などのデータを分析し、在庫管理システムやECプラットフォームが備えた販売量や在庫数をリアルタイムで追跡できる機能を効果的に活用して、在庫最適化を目指しましょう。
よく一緒に購入される商品を同じ配送拠点に保管する
よく一緒に購入される商品を同じ配送拠点に保管しておくことで、分割配送の発生を回避できます。需要予測で分析したデータも活用して一緒に購入されやすい商品の組み合わせを調査し、同じ倉庫から発送できるように在庫数などを調整しておきましょう。
ECプラットフォームの一括配送を優先する設定を活用する
ECプラットフォームに一括配送を優先する設定が備えられている場合は有効に活用し、できる限り1個の荷物で発送できるようにしましょう。Shopifyを利用している場合、注文のルーティングで「分割フルフィルメントを最小限に抑える」ルールがデフォルトで設定されています。この設定により、注文された商品すべての在庫がある拠点からの発送が優先して割り当てられ、最小の個数で配送できるようになります。
まとめ
分割配送とは、1回で注文された商品を複数の荷物に分割して顧客へ発送することです。分割配送を活用することで配送効率を向上させたり、顧客の要望に応える配送によって顧客満足度の向上を図れたりといったメリットがあります。しかし多くの場合、コストや環境負荷が増加したり、返品手続きが複雑になったりするなどのデメリットも発生します。サプライチェーンの課題として配送業者の人手不足や物流の不安定化なども指摘される市況のなかでは、EC事業者側も基本的に避けたい配送方法と言えるでしょう。
顧客体験(CX)を向上させながら、分割配送を極力避けるためには、需要予測や拠点ごとの在庫数調整など、適切な在庫管理が不可欠となります。この記事を参考に、分割配送を有効に活用して配送業務を最適化するとともに、顧客満足度の向上を目指しましょう。
分割配送についてよくある質問
分割配送とは?
分割配送とは、顧客が1回の注文で複数の商品を購入した場合に、1個の荷物としてまとめて配送せず、複数の荷物に分けて配送することです。在庫状況や保管場所、顧客の要望などの理由によって配送が分割される可能性があります。
分割配送のメリットは?
- 顧客満足度の向上が期待できる
- 顧客の要望に柔軟な対応ができる
- 配送の効率が向上する
- 大口配送では送料が削減できる可能性がある
Shopifyで分割配送できる?
はい、Shopifyでは以下の手順で分割配送を導入できます。
- Shopifyの管理画面から、「設定」>「配送と配達」の順にクリックする
- 「発送」のオプションで、配送可能な在庫設定がある場合は「分割発送」、ない場合は「管理」をクリックする
- 「チェックアウト時に分割発送を表示する」にチェックを入れる
- 保存する
分割配送を避けたい場合の対策は?
- 需要を予測し、在庫を常に十分に確保する
- よく一緒に購入される商品を同じ配送拠点に保管する
- ECプラットフォームの一括配送を優先する設定を活用する




