世界のEコマース(EC)売上は成長を続けており2031年には約5.2兆ドル(約780兆円)規模に達すると予測されています。総務省統計局のデータによると、日本でもオンラインショッピングの利用率および支出額はともに年々増加していることが示されています。
しかし、すべての商品カテゴリーが同じように成長しているわけではありません。需要が安定しているカテゴリーもあれば、一時的なブームで成長した後に鈍化するカテゴリーや、物流費や返品コストによって利益を出しにくいカテゴリーもあります。
そのため、ECビジネスを成功させるには、「何を売るか」を慎重に見極めることが重要です。この記事では、世界および日本の市場データをもとに、収益性や成長性の高い人気カテゴリーと最新トレンドを紹介します。
オンラインショッピングの人気カテゴリーとその選び方
オンラインショッピングの人気カテゴリーを理解するには、結論として「現在の収益規模」と「今後の成長性」の両方を見ることが重要です。
収益が大きいカテゴリーは、すでに市場規模があり、需要が確認されている分野です。一方で、成長率が高いカテゴリーは、まだ伸びしろがあり、新規参入の余地がある可能性があります。
Statistaでは、Eコマース市場を複数の主要カテゴリーに分けて分析しています。ひとつのデータフレームワークに基づいて見ることで、レポートごとの定義の違いによるブレを抑えられます。
人気カテゴリーを判断する際は、主に次の2つの指標が役立ちます。
- 収益規模:そのカテゴリーが現在どれだけの売上を生み出しているか
- 成長軌道:今後、その売上がどの程度のペースで増えると見込まれているか
人気が高まっているEコマースのカテゴリーは、たとえまだ収益がそれほど高くなくても、賢い投資となる可能性があります。一方で、高い収益を上げているカテゴリーであっても、その人気が衰え始めていることが表面化しておらず、ビジネスリスクをもたらす場合もあります。
何がトレンド商品になっているかに注目することも、企業にとって非常に重要です。ヒット商品によって類似商品への関心が高まり、製品カテゴリー全体の収益が向上する可能性があります。
次に、世界とアメリカでの収益別の人気カテゴリーを例に、過去1年間に大きな収益変動があったカテゴリーを見ていきましょう。
収益別のオンラインショッピング人気カテゴリー:世界
電子機器
電子機器は、世界のEコマース売上の重要な部分を占めています。このカテゴリーの強みは、スマートフォンなどの生活必需品から、ドローンやスマートホームガジェットなどのニッチな商品まで、幅広い製品ラインナップです。
電子機器は、スマートフォン、パソコン、ゲーム機器、スマートホーム機器などを含む大きな市場です。需要は新製品の発売や買い替えサイクルに左右されやすく、ブランドにとっては自社ストアで販売することで、利益率、顧客データ、顧客関係を自社で管理しやすくなります。
ファッションとアパレル
ファッションとアパレルは、オンラインショッピングの人気カテゴリーの中で電子機器に次ぐ人気です。ファッションのドロップシッピングが増えたことで、起業家がオンライン衣料品ストアを立ち上げやすくなり、既存の衣料品ブランドはコラボレーションの新たな機会を見出しています。
ファッションECでは、サイズ選びや着用イメージへの不安を減らすことが売上に直結します。バーチャル試着、サイズガイド、スタイル提案、レビューなどを活用すると、購入前の迷いを減らしやすくなります。実店舗を増やさずに新しい地域の顧客へリーチできる点も、オンライン販売の大きな強みです。
食品
食品は、常に人気の高いEコマースショッピングカテゴリーです。オンラインでの食品購入の便利さとデリバリーアプリの普及により、消費者の食品購入方法は大きく変化しました。
食品ECは、定期的に買い足す商品が多い点で成長しやすいカテゴリーです。ただし、常温保存できるスナックと、生鮮食品や冷凍食品では、保管・配送・在庫管理の難易度が大きく異なります。定期購入、まとめ買い、リマインダー型の再注文などを取り入れることで、購入頻度を高めやすくなります。
飲料
飲料は、安定した人気を維持しています。クラフトビール、お茶、プレミアムコーヒーの人気は、消費者が独自性のある高品質な飲料を好む傾向を示しています。
飲料カテゴリーには、ビール、ワイン、蒸留酒などのアルコール飲料、コーヒーや紅茶などのホットドリンク、ソフトドリンク、ジュース、ミネラルウォーター、エナジードリンクなどのノンアルコール飲料が含まれます。各セグメントの購買行動は異なりますが、リピート購入とブランドロイヤルティが生まれやすい点は共通しています。
DIYとハードウェア
DIYとハードウェア製品もオンラインで売れています。製品を比較し、レビューを読んで検討し、重いアイテムを配達してもらえるという便利さは、このカテゴリーにおけるオンラインショッピングの大きな利点です。
DIYとハードウェアは、「修理したい」「交換したい」「取り付けたい」といった課題解決型の購入が多いカテゴリーです。互換性フィルター、用途別のセット販売、明確な使用方法や設置ガイドを用意すると、誤購入や返品を減らしやすくなります。
家具
家具はDIYとハードウェアに次いで人気があります。直販ブランドの台頭は、業界に変革をもたらしています。中間業者を排除することで、マットレス会社、家庭用家具供給業者、高級デザイナーは、高品質な製品をより低価格で提供できるようになり、オンラインでの家具購入は消費者にとってますます魅力的な選択肢となっています。
家具は高額で、サイズや素材、設置イメージを慎重に比較する「検討期間の長い商品」です。AR(拡張現実)や3D表示を使って、自宅の空間に置いたときの見え方を確認できるようにすると、購入への不安を減らせます。
美容とパーソナルケア
美容・パーソナルケア商品も注目の分野です。新しい成分や価格帯、あるいはニッチなスキンケア製品を提供できるブランドは、このカテゴリーで成功することが多いです。
美容とパーソナルケアは、オンラインとオフラインの両方で「自分に合う」という実感を作れるかが重要です。肌質、好み、悩みに合わせた提案、診断コンテンツ、ユーザー生成コンテンツ(UGC)などは、購入の後押しになります。
タバコ製品
タバコ製品の中でも特に電子タバコやベイプといった製品の人気が向上しています。タバコ産業がオンライン消費者の好みや規制上の課題に応じて進化していることを示しています。
おもちゃと趣味用品
オンラインでのおもちゃや趣味用品への需要では、特に教育用おもちゃ、コレクターズアイテム、工作用品が注目されています。
収益別オンラインショッピング人気カテゴリー:日本
では日本の状況はどうでしょうか。経済産業省の「令和6年度電子商取引に関する市場調査」によると、2024年の日本国内のBtoC-EC(消費者向け電子商取引)市場規模は26.1兆円に達し、前年比5.1%増と堅調な成長を続けています。また、物販系分野におけるEC化率は10%を超える水準まで上昇しており、オンラインショッピングが消費者の日常に深く浸透していることがうかがえます。
物販系EC市場の内訳を見ると、「食品・飲料・酒類」が3兆1,163億円で最大のカテゴリーとなっています。これに「衣類・服装雑貨等」(2兆7,980億円)、「生活家電・AV機器・PC・周辺機器等」(2兆7,443億円)、「生活雑貨・家具・インテリア」(2兆5,616億円)が続いており、上位4カテゴリーはいずれも2兆円を超える大規模市場を形成しています。
この結果からは、日本のEC市場が特定のジャンルに偏ることなく、食料品や日用品からファッション、家電、家具まで幅広い分野で利用されていることが分かります。特に食品・飲料・酒類は前年比6.36%増と好調に推移しており、これまで実店舗で購入することが一般的だった日常的な買い物についても、オンライン利用が着実に定着していることを示しています。
一方で、家電やパソコン関連分野は高いEC化率を維持しており、消費者がオンライン上で情報収集や価格比較を行いながら購入を検討する行動が一般化しています。また、家具やインテリア、アパレルといった比較検討に時間をかける商材についても大きな市場規模を保っており、日本の消費者がECを単なる価格重視の購入チャネルではなく、商品を選び、比較し、納得して購入する場として活用していることがうかがえます。
さらに、日本では個人間取引(CtoC-EC)の市場規模も2兆5,269億円まで拡大しているほか、中国や米国との越境EC取引も成長を続けています。こうしたデータから、日本のEC市場は国内消費だけでなく国際的な取引やリユース市場を含めて拡大を続けており、ECが生活インフラの一部として定着していることが分かります。
世界市場ではファッションや電子機器がEC売上を牽引する傾向が見られますが、日本では食品・飲料・酒類が最大カテゴリーとなっている点が特徴的です。これは、日本においてECが特定の商品領域に限定された購買手段ではなく、日常の買い物を支える重要なインフラへと発展していることを示していると言えるでしょう。
オンラインショッピングカテゴリーの成長トレンド
EC市場が拡大を続けるなか、どのカテゴリーに需要が集まっているのかを把握することは、販売する商品を選ぶうえで重要です。カテゴリーを分析する際は、「市場規模」と「成長率」の両方を見る必要があります。市場規模は現在の人気や需要の大きさを示し、成長率は今後の伸びしろを示す指標です。大きな市場で安定した需要を狙うのか、それとも成長中の市場に先行して参入するのかによって、選ぶべきカテゴリーは変わります。それでは、オンラインショッピング市場で今後注目のカテゴリーを見ていきましょう。
食品
食品カテゴリーは引き続き伸び代が見込めます。これは、コロナ禍中に食料品の購入がオンラインに移行し、その後の年で成長率は鈍化しましたが、食品は依然として人気のあるカテゴリーです。
食品は今後も高い成長が期待されるカテゴリーです。定期購入や再注文の仕組みを設計しやすく、日常的な需要と結びつきやすい点が強みです。
家庭必需品
家庭必需品も大幅な成長を見せ、コロナ禍における必需品の需要の高まりを反映しています。
電子機器
2022年に収益が減少した後、オンライン電子機器の収益は年々成長しています。
家具
家具カテゴリーは、今後も成長が期待されており、オンラインでの家具購入への関心が続いていることを示しています。
オンラインショッピングのトレンドをビジネスに活かす方法
オンラインビジネスは、常に最新のトレンドを取り入れることで存在感を保つことができます。この記事で紹介したトレンドを取り入れることで、日本市場でもブランド認知の強化を目指せます。消費者ニーズに応じて商品ラインナップを柔軟に調整し、コスト削減とブランド価値の向上を同時に実現していきましょう。
製品の人気を表すデータを効率よく活用するためのポイントをご紹介します。
成長分野を試す
多くの企業は、特定の製品カテゴリーに特化することで、明確なターゲットオーディエンスに向けたブランドを構築しています。しかし、市場が成熟すると新たな成長機会を見つける必要が出てきます。
そのような場合は、既存顧客のニーズに関連する商品を追加したり、ニッチな製品分野への展開を検討したりすることで、売上拡大を目指せます。ただし、やみくもに商品数を増やすのではなく、製品リサーチを行い、市場の需要やトレンドを把握したうえで判断することが重要です。
また、成長を続けるカテゴリーから学べるのは、新規顧客の獲得だけではありません。食品、飲料、美容などの分野に共通しているのは、顧客との継続的な関係を築きやすい点です。
自社の商品が一度きりの購入になりやすい場合でも、定期購入、詰め替え商品の提供、セット販売、再注文リマインダーの配信などを活用することで、リピート購入を促進できます。まずは小さな施策から試し、顧客との長期的な関係づくりにつなげていきましょう。
ショッピング体験をパーソナライズする
パーソナライゼーションは、主要な製品カテゴリー内で競争する際に注目を集めるもう一つの方法です。企業は消費者データを活用して買い物客の好みを理解し、ショッピング体験をパーソナライズできます。
パーソナライズされたマーケティングや店舗デザインは、ターゲットを絞ったメールキャンペーンや、顧客の閲覧履歴・購入履歴に基づいてパーソナライズされた商品のおすすめを通じて実現できます。ロイヤルティプログラムもリピート購入を促進します。
顧客の名前で呼びかけるだけでも、ショッピング体験を向上させ、より強力な顧客関係を築くことができます。
成長が鈍化する市場では、単に多くの人に届けることよりも、顧客にとって関連性の高い提案をすることが重要になります。購入履歴、閲覧行動、基本的な好みを活用し、商品選びをわかりやすくするだけでも効果があります。
例えば、ラグや家具のような高額商品では、診断コンテンツやクイズを用意して、サイズ、スタイル、使い方に合う商品を提案すると、購入前の不安を減らせます。こうした体験は、顧客の好みを理解するファーストパーティデータの取得にもつながります。
カテゴリー別の物流を設計する
すべてのEC分野に共通する万能の物流戦略はありません。カテゴリーごとに、返品、配送費、サポート、在庫管理などの課題が異なります。あらかじめ失敗しやすいポイントを把握しておくことで、利益率を守りながら成長しやすくなります。
ファッション
ファッションは、サイズ感、フィット感、好みの違いによって返品率が高くなりやすいカテゴリーです。送料無料の返品は購入率を高める可能性がありますが、利益を圧迫しやすい点にも注意が必要です。
- 明確なサイズガイドや着用イメージを用意する
- セール品の返品ルールや交換優先の導線を設計する
- 返品された在庫をすばやく再販売できる仕組みを整える
家具
家具は大型で壊れやすく、カスタマイズ品も多いため、配送コストが高くなりやすいカテゴリーです。
- 大型配送や設置サービスの条件を明確にする
- 配送予定日や納期をわかりやすく表示する
- 破損時の対応や交換フローを事前に決めておく
DIYとハードウェア
DIYとハードウェアでは、気が変わったから返品するというよりも、間違った商品を買ってしまうことで返品が起こりやすくなります。
- 互換性フィルターや詳細な仕様情報を整える
- プロジェクト別のセット販売で選びやすくする
- 使用方法や取り付け手順を明確に伝える
食品と飲料
食品や飲料カテゴリーでは、安定した供給が顧客ロイヤルティの向上につながります。 商品を必要なタイミングで確実に届けることで信頼関係を築きやすくなります。一方で、配送の遅れや在庫切れが続くと、リピート購入の機会を失う可能性があります。
- 必要に応じてコールドチェーンや賞味期限管理を整える
- 予測しやすい配送スケジュールを提示する
- 定期購入の配送ミスを防ぐ運用を設計する
SNSがオンラインショッピングのトレンドを形作る
SNSは、オンラインショッピングの人気カテゴリーに影響を与えるだけでなく、それ自体が重要な販売データ(英語)によると、2026年の世界市場規模は約5,860億ドルに達し、2030年には9,290億ドルまで成長すると予測されています。
Z世代やアルファ世代が購買力を高めるにつれ、企業はこれらの消費者にリーチするためにSNS戦略を適応させています。多くの人が1日あたり4時間以上をSNSプラットフォームで過ごしているため、ソーシャルセリングを取り入れることが重要です。これには、製品に関する投稿を公開したり、SNSプラットフォームに店舗を設置したりすることが含まれます。
SNSでは、商品発見と購入が同じプラットフォーム内で完結しやすくなっています。TikTok、Instagram、Facebookなどでは、商品タグ、アプリ内チェックアウト、クリエイターのストア機能によって、コンテンツから購買までの距離が短くなりました。
特に、美容、ファッション、ホーム用品、食品、日常の悩みを解決する商品はSNSと相性が良いカテゴリーです。使い方を見せやすく、他の人の反応で信頼を得やすく、衝動買いにもつながりやすいためです。
💡 Shopifyなら、ストアをSNSに簡単に接続して、SNSプラットフォームで販売できます。
AIショッピングが商品発見を変える
AIを活用したショッピングは、顧客が商品を見つけ、比較する方法を変えつつあります。買い物客は「こういう用途に合う商品がほしい」と伝えるだけで、ニーズに合った商品提案を受けられるようになります。
こうしたAI主導のショッピング体験が広がる中、商品ページの情報の正確さはさらに重要になります。商品名、説明文、カテゴリー、サイズ、素材、用途、在庫情報が整理されているほど、AIが顧客の要望に合う商品として認識しやすくなります。
これからのECでは、検索エンジンだけでなく、AIアシスタントや会話型のショッピング体験に商品が表示されることも想定しておく必要があります。まずは商品情報をわかりやすく、最新の状態に保つことから始めるのがおすすめです。
オンラインショッピングカテゴリーに関するよくある質問
どのオンラインショッピングカテゴリーが最も安定した成長を遂げていますか?
食品カテゴリーは、日常的な需要に支えられて安定した成長を続けています。消費者による継続的な購入が見込めるため、オンラインショッピング市場においても堅調なカテゴリーと考えられています。
どのオンラインショッピングカテゴリーが最も成長が少ないですか?
メディア関連商品は比較的成熟した市場であり、他のカテゴリーと比べると成長は緩やかな傾向にあります。
オンラインで売れやすい商品は何ですか?
ひとつの商品だけが圧倒的に売れているわけではありません。オンラインでは、ファッション、美容、食品、家庭必需品のように、日常的な需要があり、繰り返し購入されやすいカテゴリーが強い傾向にあります。
オンラインで最も売れているカテゴリーは何ですか?
多くの主要市場では、アパレルやアクセサリーを含むファッションカテゴリーが、オンライン売上の大きな割合を占めています。ただし、国やデータの集計方法によって、電子機器や食品が上位に入る場合もあります。
世界で一番売れている商品はありますか?
すべてのオンラインプラットフォームを横断して「世界で一番売れている単一商品」を特定するのは困難です。ECの成長は、特定のSKUよりも、衣料品、食品、パーソナルケア用品のようなカテゴリー単位で見るのが現実的です。
商品カテゴリーにはどのような種類がありますか?
オンラインストアでは、商品を次のような種類に分けて考えると整理しやすくなります。
- 最寄品:食品や日用品のように、低価格で頻繁に購入される商品。
- 買回品:価格、品質、レビュー、代替品を比較して購入される商品。ファッションや家電が該当します。
- 専門品:ブランドや品質へのこだわりが強い商品。高級家具、プレミアム電子機器、人気美容ブランドなどです。
- 非探索品・ニッチ商品:消費者が普段から積極的に探しているわけではないものの、ニーズが顕在化した際に購入される商品。コンテンツマーケティングやターゲティング広告によって需要を喚起できる場合があります。




